第217話 新しい住まい

 私達は馬車を返してから、いったんパーティーホームに戻ることにした。


「そういえばラウムさんってどこに住んでいるんですか?」


「あぁ、私の住所はここだ」


 そう言ってラウムさんはメモ帳に住所を書き込んだ。


「えっ!? めっちゃ近いじゃないですか! ウチと1ブロックしか離れていませんよ!」


「なに!? そうなのか!?」


「えぇ、ウチは三番地ですから。二番地のラウムさんの家とは目と鼻の先ですよ」


「そうだったのか...偶然というのはあるものなんだな...」


 なんだか運命的なものを感じるね。


「ラウムさん、どうせならウチに引っ越して来ませんか? ちょうど部屋が一つ余ってますし。私かセリカさんが居れば引っ越しなんてすぐですよ?」


「確かにそうだな。それじゃあ」


「お二人ともちょっと待って下さい」


「ん!? どうしました!? ステラさん!?」


「アスカさんがパーティーに加わったら、今のパーティーホームじゃ狭くなりますんで、どっちみちまた引っ越すことになるんですよ? 二度手間じゃありませんか?」


「あ、確かに...」


 元気になったらルキノちゃんも一緒に住む訳だしね。


「だったら今から新しいパーティーホームを探しに行くっていうのはどうですか?」


「えぇっ!? セリカさん、今からですか!?」


「えぇ、善は急げって言いますし。引っ越しはルキノちゃんの退院を待ってからにするとしても、場所だけは先に決めておきませんか?」


「それはいいかも知れないな」


「えぇ、私も賛成です」


「分かりました。ではこのまま不動産屋に行きましょう」



◇◇◇



「いらっしゃいませ。本日はどのような家をお探しでしょうか?」


「5人、いえ6人で住む家を探しているんですが」


「6人様ですね。畏まりました。少々お待ち下さい...こちらの物件などは如何でしょうか?」


 不動産屋に紹介されたのは二階建ての家だった。一階に三部屋、二階にも三部屋の所謂6LDKという造りになっている。


 値段は...うん、やっぱりそれなりにするね。今回の儲けの半分くらいは持っていかれそうだ。


 私はステラさん、セリカさんと目を合わせる。二人が頷いたのを見て、


「この物件を見せて貰えませんか?」


「畏まりました。担当者を呼んで参りますので少々お待ち下さい」


 不動産屋の受付嬢が出て行った後、焦ったようにラウムさんがコソッと囁いて来た。


「お、おい! だ、大丈夫なのか!? けけけ結構な金額だったぞ!?」


「心配無用です。実は私達も結構なお金持ちなんですよ?」


 私がそう言うとラウムさんは絶句してしまった。

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