第215話 濃厚接触者
宿に戻った時にはすっかり日が暮れていた。
「遅かったじゃないか。心配したぞ?」
すっかり二日酔いの収まったラウムさんが出迎えてくれた。
「遅くなってすいません。実は色々とありまして...」
私は一連の流れをラウムさんに説明した。
「なに!? アスカが!? それで!? 子供は無事なのか!?」
「えっ!? もしかしてアスカさんのことをご存知で!?」
「あぁ、以前所属していたパーティーの時に助っ人で入ってくれたこともあったし、私がソロになった時も一緒に組んで戦ってくれたこともあった。とても腕の良い魔道士だった」
「そうだったんですね」
なんかこうして見ると世間は狭いね。
「私達はアスカさん達を王都に運んでそのまま戻って来ちゃいましたから、その後どうなったのかは分かりません。気になるなら明日急いで戻りますか?」
「あぁ、そうしてくれると助かる。心配だからな」
「分かりました。ステラさん、すいませんが明日も飛んで貰っていいですか?」
「もちろんです。任せて下さい」
この日はステラさんにゆっくり休んで貰うためにも早目に休むことにした。
◇◇◇
翌日、朝早くからステラさんに飛んで貰い、昼前には王都に到着した。
「ステラさん、お疲れ様でした」
「クエッ!」
「ところでラウムさん、私達はアスカさんがどこの病院に行ったのか知りませんが?」
「あぁ、それなら多分わかる。この近辺で流行り病を治せるような病院は限られてくるから」
「あぁ、なるほど」
私達はラウムさんを御者にして医者の所に向かった。あ、そう言えばこのレンタル馬車はそろそろ返さないとな。まぁ後でいいか。
「ここだ」
馬車で10分ほど走って着いたのはかなり大きな規模の病院だった。確かにここなら流行り病に対応できそうだなと思った。
早速受付で聞いてみる。
「アスカさんと娘さんのルキノちゃんですね? 少々お待ち下さい...あ、これだ。201号室ですね」
「ありがとう。面会は出来るかい?」
「えぇ、ただこのマスクを付けて下さいね?」
流行り病対策だろう。私達は全員マスクを付けて病室に向かった。
「アスカ! 大丈夫か!?」
病室にはやはりマスクを付けたアスカさんが、ベッドに寝ているルキノちゃんに寄り添っていた。
「えっ!? ラウムさん!? どうしてここに!?」
「彼女達から話を聞いてな。心配だったから駆け付けた」
「彼女達!?」
そこでやっと私達の姿に気付いたようだ。
「あ、あなた達は!」
「どうも。昨日振りです」
「えっ!? ということは...」
「あぁ、私は今彼女達とパーティーを組んでいるんだ」
「そうだったんですね...あ、それどころじゃなかった! すいません、カリナさん方! ルキノとの濃厚接触者ということで流行り病の検査を受けて貰いたいんです! お医者様にそう言われておりまして!」
「あぁ、なるほど。分かりました」
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