第158話 ポンコツ再び

「も、申し訳ございません!」


 今、セリカさんは私達の前で土下座してる訳なんだが。なんてデジャヴ。


「仕方ないので魔物を狩りに行きますか」


「あ、だったらダンジョンに」


「行きませんよ?」


 ステラさんの提案を食い気味に却下する。


「でもダンジョンの方がお金になりますよ? 魔物はちょっと強くなるけど」


 ステラさんが食い下がる。仕方ない、現実をちゃんと教えてあげないとね。


「ステラさん、私は魔物と戦うのに向いてません。セリカさんは問題外です。戦えるのはステラさんしか居ないんですよ? 逆に非効率的です」


「そうなんですか? カリナさんはともかくセリカさんが問題外っていうのは?」


「ポンコツなんです」


「ポンコツ...」


「えぇ、それも信じられないくらいのポンコツです」


「か、カリナさん! い、いくらなんでも酷いですぅ~!」


 セリカさんが涙目になって抗議して来るけど、


「いやいや、事実じゃないですか」


「そ、そこまで酷くないですぅ~!」


 どの口がそんなこと言えるんだか...


「分かりました。じゃあダンジョンに行きましょう。そこで現実を知ればステラさんも納得するでしょうから」


 私はセリカさんを亜空間に放り込んだ。


「ではちょっと服を脱いで来ます」


 物陰で服を脱ぎ、鳥の姿になったステラさんに跨がりダンジョンを目指す。



◇◇◇



 ダンジョンに着いてステラさんの着替えが終わると、私は二人に向かってこう言った。


「それじゃあお二人でダンジョンを攻略して下さいね。私は極力見てるだけにしますから」


 本当に危なくなったら助けるけどね。


「分かりました。セリカさん、行きましょう」


「はい! 頑張りますよ!」


 さて、どうなることやら...



~ ダンジョン1階層目 ~



 いきなり現れたのはオークの群れだ。


「行きます! ウリャア~!」


 ステラさんが突っ込んで行った。


「私も行きますよ~!」


 セリカさんも突っ込んで行った...が、途中でコケた。


「へぶっ!」


 それはもう見事にヘッドスライディングした。


「せ、セリカさん!?」


 ステラさんはオークの群れに囲まれながらもセリカさんを気遣う。


「あ~...ステラさん、セリカさんは引き受けますんで戦いを続けて下さいな」


 セリカさん、顔を擦りむいたのか中々立ち上がれないからね。すぐに亜空間に放り込んだ。


 危なくなったらとは言ったけど、こんなに早く出番が来るとは思ってなかったよ。


「うぅ...痛い...痛いよぉ...」


 どうやらオデコを擦りむいたらしい。セリカさんが涙目になってる。


 私はため息を吐きながらセリカさんを治療してあげた。


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