第157話 まだ居る...
「も、申し訳ございません!」
今、セリカさんは私達の前で土下座してる訳なんだが。
「だから言ったじゃないですか」
「返す言葉もありましぇん...」
「これに懲りたら私達の言うことを素直に聞くように」
「Yes,Ma'am!」
どうでもいいけどセリカさん、その返事は何語?
「でもこれで良く分かりましたよ。女が護衛専門でやって行くことの難しさを。確かに男からの依頼は今後も受けない方が良さそうですね」
そう言ってステラさんが達観した表情を浮かべる。
「いえ、護衛を依頼する男の人がみんなあそこまで酷いって訳じゃなくて、あんな下衆いのは極少数ですからね?」
「あぁ、それは分かってますよ。マトモな人の方が多いってことくらいは」
「えぇ、その通りです。なんなら試しに隊商とかの依頼でも受けてみます? 以前は私一人だったから、こっちが受けようと思っても逆に向こうから断わられたんです。女一人でなにが出来るって言われて。だから例えセリカさんと二人になったとしても、どうせまた断わられるだろうなって思って試してなかったんですが、今なら三人居ますからひょっとしたら受けられるかも知れませんよ?」
「いいんですか?」
「えぇ、構いません」
そこで私はチラッとセリカさんを見てから、
「ただし、私とセリカさんが空間魔法使いだってことは内緒にして」
「どうしてですか?」
「知られたら間違いなく私達を荷車扱いしようとしてくるからです」
「あぁ、なるほど...」
ステラさんは皆まで言わなくても分かってくれたみたいだ。そしてちょっと考えた後、
「...いえ、やっぱり止めましょう。対人の護衛依頼が来るまでは、今まで通り弱い魔物を倒すっていう方向で良いと思います」
「そうですか。分かりました」
◇◇◇
「ゲコ! ゲコ! グヘヘ♪ ウポポ♪」
「ヽ(ヽ゜ロ゜)ヒイィィィ! ま、また出たぁ~!」
次の日、冒険者ギルドに行くとまだあのガマガエルが居た...セリカさんは速攻逃げて行った。
「厄介なのに目を付けられましたね...」
「まぁ、ある意味セリカさんの自業自得な訳ですが...」
「あっ! 見付けた! 君達! いきなり居なくなるなんて酷いじゃないか!」
そんなことを言ってる場合じゃなかった。こっちもキラキラ王子様風のガマガエルの従者に見付かってしまった。
「こりゃしばらくはギルドに顔出さない方が良いですね...」
「えぇ、どうやらそのようですね...」
困ったもんだ...
私とステラさんは亜空間に隠れながらしみじみ思った。
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