第156話 だから言ったのに...
「あっ! カリナさん、依頼がありましたよ!」
次の日、冒険者ギルドに着くなり真っ先に依頼ボードを確認しに行ったセリカさんが興奮気味に叫ぶ。
「どれどれ...護衛依頼ね...フムフム...女性冒険者限定と...」
「ね!? 間違いないでしょう!?」
「セリカさん、依頼者の名前を良く見て下さい」
「えっ!? 名前!? あ、男の人ですね。それがなにか!?」
「男の人で敢えてこうやって女性の冒険者限定なんて書いて来る人は、十中八九邪な考えを持ってる人です。出会い系と勘違いしているような」
「えっ!? そうなんですか!?」
「はい、経験者は語るってヤツです」
まだ私がソロだった頃、こういう依頼を何度か受けようとしたことあるんだけど、依頼人は決まってチブデブハゲの中年オヤジで、私のことを脂ぎった嫌らしい目で見て来るから気持ち悪くて速攻断ったんだよね...
「あぁ、なるほど...そういうの良くあるって聞きますね...」
ステラさんも同意してくれた。
「という訳でこの依頼は無しということで」
「ちょ、ちょっと待って下さいよ! そういう先入観は良くないと思います! 会うだけ会って見てそれから決めても遅くないじゃないですか!」
「構いませんよ。会うだけなら。ただし、相手の家じゃなくてギルドで会うようにして下さいね?」
「分かりました!」
◇◇◇
次の日、指定した時間に現れたのは...
「あぁ、連絡をくれたのはあなた方なんですね? これはこれはまたなんと麗しい方々だ!」
なんだこのキラキラしい王子様スタイルの男は!? ま、まさかの依頼者なのか!? そ、そんなバカな!?
「はい~♪ 私です~♪ よろしくお願いします~♪」
いかん! セリカさんの目がハートマークに! しかも私達じゃなく私って言っちゃったよ!
「うんうん、これなら我が主様もお喜びになるだろう!」
「へっ!? 主様!?」
キラキラ王子様の後ろから現れたのは...
「ゲコ! ゲコ! グヘヘ♪ ウポポ♪」
うわぁ、なにあれ!? ガマガエル!? チブデブハゲの中年オヤジな上に人類ですらないなんて...
あ~あ...セリカさんが固まっちゃったよ...まぁ無理もないよね...だから言ったのに...
「ゲコ! ゲコ! ゲコ!」
うわぁ、ガマガエルが舌舐りしながら近付いて来たよ...
「い、いやぁ~!」
あ、セリカさんが覚醒した。その途端、瞬間移動で逃げやがった! どうすんだよこれ!? こっちに近付いて来んだけど!?
「か、カリナさん...」
あぁ、はいはい。ステラさんを連れて亜空間に避難すりゃいいんでしょ?
セリカさんは後で説教だな!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます