第38話 捕獲
無駄とは知りつつも、取り敢えず私は彼らに話し掛けてみることにした。
「随分と剣呑な雰囲気ですが、私に何の御用でしょうか? 知っているとは思いますが、私はアクセル様の護衛を勤めています。私に何かあればアクセル様のご不興を買うことになりますが、そうなってもよろしいのですか? それと王宮内で刃傷沙汰に及んだりしたら、あなた方も只では済まないと思いますが、本当にそれでよろしいのですか?」
話が通じるとは思わなかったが、一応筋は通しておかないとね。
「......」
うん、やっぱり無言で剣を抜いたね。そりゃそうか。全員覚悟完了したみたいな顔してるしね。さて、でもどうしようか? 王宮内で刃傷沙汰がマズいのは私も同じなんだよね...さすがに町中とは違うからねぇ...相手は5人も居るし、私を逃がさないよう周りを囲まれたし...
仕方ないから生け捕りにしますかね。
「......」
無言で一斉に斬り掛かって来たから、まずはサッと亜空間に避難してと。
「なっ!? 消えた!?」「そんなバカな! どこ行った!?」「探せ! 近くに居るはずだ!」
うんうん、右往左往してるね♪ じゃあ一人ずつ亜空間に招待しましょうかね♪
「なっ!? 今度は仲間が消えたぞ!?」「一体なにがどうなっているんだ!?」
混乱してる混乱してる♪ その間に一人また一人と亜空間に放り込んでいく。ついに最後の一人になった。
「うわぁ! 助けてくれぇ!」
逃がさないよ♪ みっともなくその場から逃げ出そうとした最後の一人を亜空間に放り込んでと。はい、任務完了~♪
いやぁ~♪ 良い仕事したなぁ~♪
さてと、アクセル様に報告して指示を仰ぎますか。
◇◇◇
私は急いでアクセル様の執務室に戻って、今あったことを全て報告した。
「まさか...近衛騎士の中にそんなことをする輩が居るなんて...それで5人を捕獲したと...」
あぁ、確かにショックだよねぇ...町の衛兵に成り済ますどころじゃないもんねぇ...王のお膝元である近衛騎士に成り済ますってのは相当ヤバい感じ? かなり高位の貴族が関わってるって証拠だもんねぇ...
「はい、5人一緒にするとお互い斬り合って集団自決しかねないと思ったので、一人一人個室っていうか個別の亜空間に閉じ込めてあります」
「そ、そうか...」
あれ? アクセル様がなんか遠い目をしてる? なんで? 5人くらい楽勝だよ? なんだったら百人くらいイケちゃうよ? 面倒だからやらんけど。
「取り敢えずご苦労だった。昨日と同じように近衛騎士団の詰所に行ってくれ。この時間ならカイルとアランが居るはずだ。二人に事情を説明してくれ。俺も後から行く」
「分かりました」
私は近衛騎士団の詰所に向かった。
まさか二日連続で行くことになるだなんてね...
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