第37話 ミネルバ再び

 取り調べ室には重苦しい雰囲気が漂っていた。

 

 アクセル様も中に入って来た。


「情報は聞き出せなかったか...」


「えぇ、残念です...」


「そうだな...カイル、アラン、後を頼む。カリナ、行こう」


「「「 はい! 」」」


 カイル様とアラン様に事後処理を任せて、私とアクセル様は部屋を出た。



◇◇◇



 アクセル様はご自分の執務室に着くなり、


「ふぅ...」


 と深いため息を吐いた。


「なんとも後味の悪い結果になったな...」


「全くです...」


「なにはともあれ、カリナ。今日は本当にご苦労様。事件の黒幕探しは騎士団に任せるから、今日はもうゆっくり休んでくれ。俺も今日はもう公務は無いから休むよ」


「ではお言葉に甘えまして失礼致します」


 こうして波乱に満ちた1日が終わった。ふぅ...疲れた...



◇◇◇



 次の日、またしても先触れも無しにミネルバがやって来た。なんかもう、なんでもありだね...


「アクセル様ぁ~♪ 町で襲撃されたとお聞きしましたぁ~♪ 大丈夫でしたかぁ? お怪我はありませんでしたかぁ? もうミネルバ心配でぇ、夜も眠れなかったんですぅ♪」


 相変わらず過剰な仮面を被った演技をしているが、前回その仮面を剥がされたことはコロッと忘れているらしい。図太いというかなんと言うか、ある意味尊敬に値する。間違っても真似したいとは思わないけどね。


「耳が早いな...昨日の今日だぞ...ミネルバ嬢、大丈夫だ。怪我は無い」


「我が家は近衛騎士団に顔が利きますんでぇ~♪ 情報は早く出回るんですぅ~♪ お怪我がなくて良かったですぅ~♪ 安心しましたぁ~♪」


「なにせ優秀な護衛が付いているんでな」


 アクセル様、そこでこっちに振りますか! 良い笑顔で私を見てますね! まぁ、ミネルバを煽るため、わざとやってるんだろうけど。


「あ、そうなんですか...」


 あ~あ、ミネルバの仮面があっさり剥がれちゃったよ...能面みたいに表情がなくなっちゃった...変わり身早いね。


「用はそれだけかな? 悪いが公務があるんで失礼したいんだが」


「あ、申し訳ありません...私が下がりますわ...」


 そう言って部屋を出て行こうとするミネルバは、最後に私のことを般若みたいな顔で睨み付けて行った。怖いよ~...あれきっとまた何か仕掛けて来るよねぇ...



◇◇◇



 その悪い予感はすぐ現実になったりするんだが...現在、私は中庭で何故か近衛騎士の制服を着た連中に囲まれてる訳なんだが...


 食堂でお昼を食べた後、腹ごなしに中庭を散歩してたらこれだよ...


 さてさて、どうしましょうかね...

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