第50話 妹と約束

 俺は美穂と会ってから自宅の最寄り駅へ帰る電車に揺られていた。


「なんか色々あったなぁ」


 そんなことを思いながらも俺は知り合いの警察官にメッセージを送る。


『相談したいことがある。近々会えないか?』


 すると、すぐに既読がつけられた。


『先輩の頼みとなれば喜んで! ちょうど明日非番なんですけどどうですか?』

『助かる。そうしてくれ。場所はいつのもところでいいか?』

『はい、それで大丈夫です』


 俺がこいつと会う時の場所は大体決まっている。

それに、俺も明日は休みになっているのでちょうどいい。


 そんなことをやっているうちに俺は自宅の最寄り駅に到着した。

そこから、歩いて15分ほどかけて自宅に戻る。


「ただいまー」


 玄関の鍵を開けて中に入ると、瑠奈の靴があったのですでに帰ってきているのだろう。


「お兄ちゃんおかえり。遅かったね」

「うん、ちょっと色々あってな」

「ご飯できてるよ」


 キッチンの方からいい匂いが漂ってきていた。


「いつも悪いな」

「いいよー。その代わり、お兄ちゃんは洗濯物よろしくー」


 瑠奈の目線の先には取り込んだだけの洗濯物が積まれていた。


「そのくらいやりますよー。着替えてくるわ」

「はーい」


 俺はジャケットを脱ぎながら自分の部屋へと向かう。

スーツからラフな服装へと着替えた。


「お兄ちゃん、最近忙しいの?」

「うん、そうだね。やることは増えたかな」


 俺は洗濯物を畳みながら言った。


「お兄ちゃん、気づかないで無理してることあるからほどほどにしてよ」

「よく分かっていらっしゃる」


 伊達に長いこと一緒に暮らしているわけではない。

俺のことは大体なんでも知っているみたいだ。


「今度、久しぶりに二人で出かけない?」

「別にいいけど何するんだ?」

「私、見たい映画あるんだよねぇ」


 瑠奈はそう言ってスマホを操作した。


「これ」


 スマホの画面を俺に向けてくる。


「ああ、予告でやってたな。いいよいつ行く?」

「来週末とかは」

「空いてるな」


 来週は珍しく週末が休みになっていた。


「じゃあ、そこで行こうよ」

「分かった。久々に行くか」


 映画を見に行くのなんて何年振りだろうか。

ましてや妹と行くとなるとだいぶ前な気がする。


 決して仲が悪いということではない。

まず、仲が悪かったら一緒に住むようなことはしない。


 単にお互いに忙しくて遠慮していたのだろう。


「楽しみにしてるね」

「おう、俺も楽しみにしているわ」


 そんな話をしているうちに洗濯物は畳終わって、夕食がダイニングテーブルに並べられていた。


「てか、お兄ちゃんは私の下着見てもなんで動じてないの?」

「妹の下着で発情するかよ」


 俺は畳んだ洗濯物を移動させながら言った。


「妹じゃなかったら?」

「興奮するかもな」

「変態!」


 瑠奈は表情を引き攣らせていた。


「てか、風呂上がりとかほぼ下着でウロウロしてるし、兄妹だし」

「あれは下着じゃない!!」

「まあ、なんでもいいけど、俺以外にはそんな姿見せない方が身のためだぞー」


 そんなことを言いながら俺は夕食の席についた。

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