第37話 出演依頼
WhiteのSNSは順調にフォロワーを伸ばしていき、ライブに来てくれる人の人数も増えて行った。
「これは、予想以上にいい感じだな」
俺はパソコンの画面を見ながら口にした。
フォロワーが増えればそれだけ目に止まりやすくなり、拡散力が大きくなる。
その時、俺のメールアドレスにセントレルテレビの向井さんから連絡が入っていた。
その内容としては向井さんが担当する音楽番組にWhiteを出演させたいというものだった。
「こりゃまた、随分と大きな話になっちまったな」
向井さんが持ってくる仕事だから、それなりに大きなものだろうと思ったが、まさかここまでいい話だとは思わなかった。
俺は、是非前向きに検討させて欲しいと連絡をした。
これも、社長とメンバーたちの了承を貰う必要があるだろう。
もう時間的には遅いので明日にでも確認するとしよう。
次に俺は瑠衣さんにコンカフェへのゲスト出演依頼のメールを送った。
すると、すぐに瑠衣さんから電話がかかってきた。
『四宮さん、今、大丈夫ですか?』
「ええ、大丈夫ですよ」
俺は通話を許可すると言った。
『四宮さんからメールにあった件ですが、うちとしてもお願いしたい。Whiteさんの今の知名度なら十分宣伝になるでしょうから』
「それは、良かったです。では、このまま話を進めさせた下さい」
この話はうちにとっても利益にはなる。
宣伝にもなるし、インセンティブも支払われる。
『うちとしては秋葉原にある店舗の方に出勤して頂きたいと思うのですが』
「わかりました。その方が助かるかもしれません」
Whiteが主に活動しているのは秋葉原だ。
その為、秋葉原の方が何かと都合がいいのではないだろうか。
『では、日程調節を改めてしていきましょう』
「ありがとうございます。そうしましょう」
『じゃあ、よろしくお願いします』
瑠衣さんも仕事の話となると真面目になる。
こういう所があるから信頼できるし、一緒に仕事したいとも思えるのである。
「はい、こちらこそよろしくお願いします」
俺はそう言うと、通話を終了させた。
「日程としては来月の半ば辺りがちょうどいかもな」
カレンダーを確認しながら呟いた。
来月の半ばなら集央出版も雑誌に載って一週間くらい。
話題性がまだ残っているうちにゲスト出勤の日程を組みたい。
まあ、メンバーたちと話し合いって日程を決めるとしよう。
「さて、俺も帰るか」
久しぶりに遅くまで職場に残っていた。
外はそれなりに暗くなっていた。
鞄を手に持つと、俺は事務所を後にする。
そこから、駅に向かって歩き始めた。
「なんか、充実した1日だったなぁ」
駅のホームで電車を待つ。
自宅の最寄り駅まで20分ほど電車に揺られるのであった。
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