第19話 また一緒に仕事しませんか?
ビールを飲み干すと、俺はソファーに座ってなんとなくテレビを眺めていた。
その時、ポケットに入れていたスマホが振動した。
スマホの画面には『向井傑』の名前が表示されていた。
「はい、四宮です」
俺は自分の部屋に向かいながら電話に出た。
『夜分にすみません。セントレルテレビの向井ですが、今お時間よろしいでしょうか?』
「はい、大丈夫ですよ。どうかされましたか?」
向井さんはセントレルテレビでプロデューサーをしている。
俺の前の会社でのクライアントさんである。
『四宮さん、ユメミヤの事務所から退職なさったと伺ったのですが』
「相変わらず耳が早いですね」
『この業界、情報はすぐに回りますからね』
さすがは大手テレビ局のプロデューサーにまでなった男である。
人脈はきっと俺以上にあるのだろう。
『それで、四宮さん今は何を?』
「実は、株式会社フルムーンという事務所に再就職いたしまして、今はWhiteというグループをプロデュースしております」
『そうですか。まだ業界にはいましたか』
正直、俺にはこの道しか無いと思っている。
「自分にはプロデュースくらいしか能がないので」
『何をおっしゃいますか。まだ業界に居るなら話は早い。また一緒に仕事しませんか?』
向井さんの方から提案してくれた。
「しかし、セントレルテレビはユメミヤを売り出すのでは?」
『四宮さんが手を引かれたとの噂を耳にしましたので、私どもも撤退させていただきました』
「そうだったんですか。それは申し訳ないことをしました」
正直、向井さんの提案は願ってもないことである。
今のWhiteはとにかくメディアに露出させていきたい。
「こちらからもお願いしたいと思っていたところでした。ぜひともお願いしたいです」
『ありがとうございます。では、軽い打ち合わせをしたいのですが、ご都合のいい日はありますか?』
そう言われて俺はスケジュール帳を確認する。
「明後日の夕方などはいかがでしょう? ちょうどうちのライブがあるんでご招待したいのですが」
『それは嬉しいですね。四宮さんのプロデュースしているアイドル、期待していますよ』
「承知しました。では、詳細はメールさせていただきますね」
やはり、直接ライブを見てもらった方が伝わるものも多いだろう。
『はい、お待ちしております』
向井さんがそう言うと、俺は通話を終了した。
そして、向井さんのメールアドレスに明後日のライブについての詳細情報を送った。
俺の名前をと添付した画像を出せば招待されていることがわかるようにしておいた。
そして、Whiteのグループチャットにもライブにテレビ局のプロデューサーが来ることを伝えた。
ここから、四宮渉の人脈チートは更に開花していくことになるのであった。
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