第13話 出版社へ

 俺はスマホを取り出すと、電話のアイコンをタップする。

連絡先の中から『福田宏文』をタップした。

この人が、集央出版の編集長である。


『はい、福田です』


 福田さんは数コールで電話に出た。


「ご無沙汰しております。四宮です」

『お久しぶりですね。どうかされましたか?』

「単刀直入に言いますが、ちょっとご紹介したいアイドルが居ましてね」


 俺は福田さんに事の成り行きをざっくりと話した。


『ほう、それでうちに営業を掛けてきたわけですね』

「まあ、そうとも言えますね」

『相変わらずな方だ。いいですよ。明日、お待ちしております』


 先方は明日の14時に約束をしてくれた。

まあ、幸先としては悪くないのではないだろうか。


「ありがとうございます。それでは、明日の14時によろしくおねがい致します」


 そう言うと、通話が終了した。


 俺は、そのままwhiteのグループにメッセージを送る。


『明日の14時にアポイントを取った。ここに集合してくれ』


 住所と共にその内容を送った。


『了解です!』

『分かりました!!』


 メンバー達からも了承の返信があった。


 俺はそれを確認すると帰路に就いた。



 ♢



 翌日、俺は昼前には起きだした。

営業を掛けるのだからそれなりに準備はしていかねばならない。


 髭を剃って寝ぐせを整える。

白シャツに黒のスーツを着用した。

鞄にはwhiteの資料も入れたし、準備は出来た。


「行くか」


 俺は久しぶりの革靴を履いて外に出た。

そこから、駅に向かって歩く。


 駅から集央出版の最寄り駅までは20分と少しだったと記憶している。

少し早めに着けるのではないだろうか。


「少し早かったかな」


 俺が集央出版に到着したのは14時の25分前だった。


『ちょっと早めに着いたから先に集央出版の前で待ってる』


 グループにメッセージを送る。

すると、すぐに既読が付いた。

最近の若者はずっとスマホを見ているのだろうか。


『承知しました!!』


 メンバー達も今向かっているらしい。

そんな内容の返信があった。


 そして、その10分後にメンバー3人が到着した。

どうやら一緒に来たようである。

ほんと、仲いいな。


「お待たせしましたー」

「いや、まだ時間の前だから大丈夫だ」


 莉奈は白のレースのワンピースにベージュのジャケットを、美穂は黒のニットに淡いピンク色の膝上のスカート、友梨はザ量産系といった感じの服を着ていた。


 服装だけみても個性が分かれている。

これはこれでいい感じだ。


「よし、行こうか」

「「「はい!」」」


 俺を先頭に集央出版の本社ビルに足を踏み入れた。

まずは、エントランスで受付を済ませる。


「14時に週間少年ブレイブの福田さんとお約束をしております、四宮と申します」

「確認致しますので少々お待ち下さい」


 そして、数分後。


「確認が取れました。三階へどうそ。通行証です」

「ありがとうございます」


 通行証を貰うと、編集部のある3階へと向かうエレベーターに乗った。

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