第12話 次の戦略へ
今日のライブも人数はそれなりに入ったが、まだまだ少ない。
それでも、Whiteはしっかりとステージをやり切った。
「正直なことを言えば、ここから規模もドンドン大きくしていきたいんだよなぁ」
俺は次の目標を掲げていた。
ライブが終了すると、チェキの撮影タイムとなった。
その様子を俺はバックヤードから見守っていた。
「T○itter、すごくバズっていたね」
「そうなんですよー。知り合いの助言を実行してみたんです」
メンバーとファンのそんな会話が聞こえてきた。
そして、チェキの撮影も一段落した。
「お疲れ様ー」
「「「お疲れ様でした!」」」
俺はメンバーたちに声をかけた。
「SNSバズってみてどうだった?」
「めっちゃ、フォロワー増えました!」
「それきかっけで来てくれた人もいるみたいです」
特に、美穂の伸びが凄まじかった。
今ではいいね数は1万2千を超えて、フォロワーも数百人一気に増えていた。
他のメンバーも例外ではない。
美穂ほどではないがフォロワー数を着実に伸ばしていた。
「とりあえず、バズったやつを固定しておこうか」
「分かりましたー」
バズった投稿というのはそれだけで自己紹介の代わりくらいにはなる。
とりあえずのSNS戦略としては幸先はいい。
「ところで、みんな明日って空いてる?」
明日は特にライブの予定は入っていないはずだ。
「空いてますよ!」
「私もです」
「特にないです」
3人とも特に予定はないらしい。
「なら、営業に行かないか?」
「営業??」
メンバーたちは疑問の目を向けてきた。
「ああ、そろそろメディアへの露出を増やしていきたいと思うんだ」
「前に言っていた知名度ですか?」
莉奈が俺に尋ねてきた。
「ああ、その通りだ。知名度を上げるに越したことはない」
「それで、どこに営業をかけるんですか」
今度は美穂が俺に尋ねる。
「集央出版だ」
「「「集央出版!?」」」
3人の声が重なった。
まあ、無理もないだろう。
集央出版は業界でも3本の指に入るほどの大手出版社だ。
「何かおかしいか? どうせなら大きな出版社の方がよくないか?」
「まあ、そうですけど、アポとか取れないんじゃないですか?」
友梨が疑問の目を向けてきた。
「その辺は心配ない。あそこの編集長とは知り合いだからね」
おそらく、電話一本でもしたら会ってくれるだろう。
「す、すごい人脈ですね……」
もはや呆れたような視線を向けられてしまった。
いや、驚くのに疲れたのだろうか。
「じゃあ、明日開けといてくれ。詳細はグループに送っておく」
「はい、お疲れ様でした」
こうして、俺はメンバーたちと解散したのであった。
「さて、アポはとらなきゃな」
俺はスマホを取り出すと、電話のアイコンをタップした。
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