小さな世界の不適合者

空野

エピローグ

 その世界は一つだった。一人の者が頂点に君臨し統治する、そんな世界だった。

 そんな世界の統治者の業を背負わされている者は、名を空という。

 人々が思いを馳せ果てなく夢を見る、全てを包み込む広大なあの空と同じ名だ。

 世界の統治者などという地位は空には重くて重くて仕方がないものだったけれど、それでも空は頂点に君臨すること決めた。

 空には守りたい人たちがいる。彼らのために、空の世界を守るために空は覚悟を決めた。

 だから空は世界の頂点にいる。

 自己が空っぽで虚ろで虚無であるという、誰にも言えない秘密を抱えながら。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る