処刑の街

今日も今日とて、街中から選ばれた人たちの処刑リストを開く。

その中に、小雪の名を見つけた、その時だった。俺はある疑問に行きつく。

小雪のことは気に入らなかったけど、他の人たちがどうとか、そういうことじゃなくて、誹謗中傷が事実ではなく、誰かに陥れられたとも考えられるということか?

今どき、無実でない人が処刑されるなんてありえない。

「もしかして、噂にまみれた『黒い君』……いやいや、今はもう『小雪』でいいだろ」

俺はそう結論づけた。これで、あとは『殺ることを殺る』と俺の腹は決まったらしい。

「そうだ、あの人を探さないと」

そうなってくると、俺たちの関係は何だか変に思えた。

じゅうぶん、嫌い合ってたはずじゃないか。

しかし、こうなってはしょうがない。俺は彼女に会いに行くことを決めた。

雪野原一面を埋め尽くした絞首罪人の晒し場を眺めて、俺は白い息を吐く。

「……」

俺は目の前にぶら下がっている小雪に近づいたが、彼女は動こうとしなかった。どうやら、死ぬこと以上に悪いことを心配しているようだった。

俺は彼女を安心させようと、優しく声をかけた。

「大丈夫だよ、小雪。怖くないよ」

小雪は一瞬ビクッとしたが、すぐに元の死者の表情に戻った。

しばらくして、何も起こらないのを確かめて、

「本当? ありがとう……」

彼女はホッとしたようにそう言った。

なんで彼女に『大丈夫』って言ったのかは分からない。それでも、俺にとって重要なのは、小雪のことが好きなんだということだ。

「俺のこと信じてくれてありがとうな、小雪」

「ううん、私もよ」

俺たちは抱き合った。温かいと感じて涙が出そうになっていたのは内緒だ。

やがて、街のあちこちから、人の気配と物音が聞こえてきて、この街は今日も変わりゆく。

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