第29話 知識遺産の活用
大賢者の屋敷には素材や魔道具の他にも沢山の遺産が存在した。
最大の遺産と呼べるものは、大賢者が残したと思われる数々の書籍になるだろう。
最初に訪れた時には皆を待たしていることもあり、すべて簡単に確認するだけですぐに戻ってしまったが、翌日以降に解体作業を始めると、魔力補給も兼ねて度々大賢者の屋敷を探索した。
大賢者の書籍はスマートシステムの叡智アプリで全て書籍登録する。登録は一度ストレージに収納すれは簡単に登録が出来た。
登録した書籍は地球の電子書籍のように閲覧も検索も出来るようになり、試しにスライムの事を書籍検索すると、見たことのある内容ばかりであった。
不思議に思い叡智アプリの検索でスライムのことを検索すると、書籍検索より大量に情報が表示される。その中には書籍検索と同じ内容も含まれていた。
え~と、これは……、叡智アプリの検索は総合検索のようなもので、この町の書籍を含む情報を検索できるようで、書籍検索は意味がないのか?
まあ、検索した情報がどの書籍にあるのか確認できるから、完全に意味がない事もないのかぁ。
叡智アプリの検索は地球のインターネットと同じように、嘘や間違った情報も沢山あるようで、注意は必要だし、その情報元が何処なのかはわからない。
検索結果の情報を公開と言うか、人に伝えたり書籍や書類にしたりするのも注意が必要だ。
大賢者の知識の大半は失われた知識と言われているようだし、スライムを活用した魔法陣作成すら、一般には知られていなかったのである。
作業の合間の魔力補給の度に、大賢者が残した魔道具もストレージに収納しては解析する。解析内容を使って書籍検索をすると、ほとんどの魔道具について大賢者が残した書籍に作成法などは残っていたのである。
全ての書籍を精査する時間があまりなかったので、現状では必要な情報を検索で探すだけだったのである。
◇ ◇ ◇ ◇
毎晩夕飯を食べると、特に何かする訳では無いので、すぐに部屋に戻る。
部屋に戻ると最初は、シア達が採取した素材でポーション関係をレシピで大量に作成する。
日々の作業でMPの最大値も増えたので、魔力切れを起こすことは少なくなったが、それでも飴を舐めていないと危険になる。
そして大量に様々な物を作り始めると、MPの減り方について、あることに気が付いた。
レシピで作成するとすぐに完成品を作ることが出来るが、魔力の消費量が工程や時間の多いものを作成すると、工房に入って作るより必要な魔力量が増えるという事だ。
レシピによる作成について、作成時間の設定を出来るように、スマートシステムのバージョンアップの申請を、改良した魔法陣と一緒に神託で神様に送る。
まあ、ダメならしょうがないよねぇ。
次に早めに必要になるものを各種工房で試作してはレシピに登録する。
ここまでの作業は遅くても12時過ぎることは無かった。
それから3時か4時ぐらいまで、ひたすら大賢者の屋敷の魔道具や結界などに含まれる魔法陣の最適化に時間を費やすのだった。
魔法陣の最適化を始めると、同じような魔法陣や、魔法陣の中に魔法陣が含まれていて、複雑になっている事が分かる。それに……。
設定値なんかは設定のファイルと言うか設定用の魔法陣でまとめたほうが分かりやすよね?
それならと設定用の魔法陣だけでなく、魔法陣に引数で設定値を渡すようにすれば、効率的だと気が付く。
更にプログラムと同じように基本的な魔法陣をライブラリ化して、魔法陣の効果と言うか制御用の魔法陣から、ライブラリ化した魔法陣や設定の魔法陣を呼び出せば、より簡単に複雑な魔法陣が作れるかも!?
それから自分なりの魔法陣の書き方をマニュアル化し、効率化した魔法陣をライブラリ化した。
しかし、ライブラリが肥大化してくると、効率化してもその都度ライブラリから、魔法陣を選んで書き込まなければならない。
パソコンやスマートフォンのようなチップやROM、メモリに相当するものがなく、多少は魔法陣に情報を記憶できるようだが、地球の初期のパソコン以下としか思えなかった。
叡智アプリで記録とか魔法陣の書き込みとかで検索すると、錬金術の能力が上がると、魔石に魔法陣を記録したり、情報を記録できたりするとあった。
スマートシステムで自分のステータスを確認してみる。
【ステータス】
──────────────────────────────
名前:アタル
種族:人族
レベル:2
HP:110/110
MP:89421/89421
スキル:身体強化(7/10) ・状態異常耐性(3/10)・生活魔法(5/5)
魔力感知(8/10)・魔力操作(7/10)・魔力回復(8/10)
土魔法(8/10)、スマートシステム
──────────────────────────────
MPが増えているのは連日の作業の結果だろう。スキルのレベルも上がっているのも同じだな。
錬金術はスマートシステムのアプリだから、そちらで確認しないとダメだと思い出す。
錬金術アプリを開くとLevel8になっていた。MAXがLevel10なので予想以上に高い。
まあ、毎晩大量にポーションを作っているし、それ以外でも錬金術を使いまくっているのだからあり得るのかなぁ?
錬金アプリを確認すると魔石浄化や魔石書込が追加されていた。
試しに角ウサギの魔石を錬金工房で魔石浄化して解析してみると、『角ウサギの魔石』だったのが、ただの『魔石』になった。
更に魔石に魔力吸収の効果を付与(魔石書込で魔力吸収の魔法陣を書込む)すると、解析で『MP20/80』だったのだが、徐々にMPが20から増え80になると破裂したように飛び散り、キラキラと輝く砂のようになり、すぐに赤い煙になり消えてしまった。
それから。
魔力の消費と吸収のバランスを取りながら、吸収が過剰だと時間が掛かっても最大値を超えた瞬間に輝く砂のようになり、赤い煙を出して消えてしまい、消費が過剰だと徐々に魔石は透明になり、魔力が無くなると消えてしまった。
完全に魔力の消費と吸収のバランスを取れなかった。何故なら横で魔力を使った作業をしているだけで、吸収する魔力量が変化したためである。
効率化した魔法陣のライブラリを魔石に書き込んだが、解析では3%ほどの領域しか使われていない事が分る。
最終的に
段々楽しくなってきてフォレストウルフの魔石で同じように作ると、部屋全体を12時間近く
更に検証を進め、魔石にポーション作成のレシピや作成方法を書き込み、その情報を空中のモニタに表示して、改ページできる電子書籍のようなものも作ってみた。
今回の検証で分かったのは、魔石がバッテリーでありCPUでありROMでありメモリとして使える事である。
調子に乗り過ぎて、あまり持っていなかった魔石が全て無くなってしまい。翌日にハロルド様にお願いして魔石を譲って貰うのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます