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これを聞きつけたカミュのこめかみが、ぴくりと引きつった。
「…随分な皮肉だな」
「え? だって本当のことじゃない。それにカミュって、滅多に本心は見せないでしょ?」
「例えそうだとして、それがお前に何の関係がある?」
「…おまけに素直じゃないし」
「人のことが言えるのか? なら、俺も言ってやる。お前は──」
カミュと唯香が、互いにやり合っている中、傍らでそれを見るしか出来ない傍観者。
その中のひとりである将臣の目は、シンの手に握られたままの、例の王様マークのついた割り箸に向けられていた。
…そこには、よほど注意しなければ見えないであろう、極めて細い鋼線が巻き付いている。
(成る程な。あれが原因か…)
将臣は含み笑った。その視線を件の二人に移すと、二人は飽きることもなく互いの短所を指摘している。
(…、唯香にかかると、カミュも形無しだな)
しかし、妹も侮れない。
…精の黒瞑界の皇子を、ここまで手玉にとるとは。
不意に笑いが込み上げてきて、将臣はそれを抑えることにそれからを費やした。
…何となく中途のようでいて…
†完†
執筆開始日:2006/02/17
執筆終了日:2006/02/23
【後書き】
こちらも前回の短編同様、キリ番15000の時に受け付けたものです。
前回も今回も、割とギャグに走ったリクエストになり、ひいてはそのような内容の短編となるのは、この頃の本編が、シリアスなシーンばかりであったからではないかと思います。
普段はあの通りのカミュが、唯香が絡むとどのようになるのかの基礎は、この短編で見えた気がしますね(笑)。
何にせよ、本編とは違う視点・ジャンルから書けて、興味深く、そういった意味合いで当時は面白かったと記憶しております。
特にサリアとカイネルの絡み。今、再掲載にあたって見直してみると、この2人、この頃からこうだったのかといった感じです。年季が入ってますね。そりゃ肘鉄も輪を掛けて痛いわけだ…
実はこの短編で、将臣とマリィの方にも、本編の補足といった感じで恋愛要素を入れました。
あの2人は年齢が離れているので、表現も、あのくらいが良いかと判断して入れた記憶があります。
当時は今のように、親子ほどの年齢差でどうのこうのは、まだ仰天な時代でしたから、あの頃としては相当に年齢が離れていた感覚がありましたが、今だと普通に許容範囲です(笑)。
それでも当初は将臣→19歳、マリィ→6歳の設定ですから、そりゃ将臣がロリ○ンと言われるのもやむなしだったのですが、これが10年後、20年後となれば、別に珍しくも何ともない年齢差になりますので、そこで多少は緩和されていたというか。
最初など、年齢からして将臣は恋愛対象には見ていなかったでしょうし、そういう意味では、マリィもそれなりに大変だったのかなと思います。
ここまで書いていて思い出しましたが、確か、この辺りのくだりは何かで書いた気がします。
機会があれば、そちらも是非載せたいですね。
お付き合いして下さいます読み手様がいればの話ですが(笑)。
では、ここまでお付き合い下さいまして誠に有り難うございます。
引き続き、本編及び短編をご贔屓頂ければ幸いです。
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