第8話

昨日の帰りに眼鏡屋に立ち寄って

急遽仕入れた新しい伊達眼鏡を装着し、

髪の毛もかっこ悪く無造作にまとめてきた。


俺は今、陰キャポジ。


なのに。


林ユーコは声をかけてきて、


更に小声で。


「今日から私と付き合ってほしいの...」


と告白までしてきた。


「え」


「なんかね、私、山吹くんとぶつかった昨日からかな。

私変なの...」


「貴方のことが気になって気になって

仕方なくなっちゃったみたいなの...」


「ええええ」


「とにかくね...

私と、キスとか、ハグとか、その先のこと?

してもらえれば、それでいいの...」


「私、黙ってるからさ...

貴方の正体、誰にも言わないよ...?」


「あのさ、正体とか?

なんのこと言ってんだか、全く理解できません!」


俺が強い口調で言ったら、

クラスにいる学年一のモテ男で、

体操部のエースで、

林ユーコにぞっこんな男、

名前は藤島が、近寄ってきた。


「待て待て!なーんで、美少女が

陰キャと滅茶苦茶顔近づけて会話してるよ!?」


俺らの仲に割って入ってくれた。


かなり、至近距離で俺の耳にささやくように

林ユーコにゆすられてたから、

俺はある意味、藤島のおかげで

助かった。


「うるさいな、藤島くん。

私が、クラスの誰と何を話そうがあんたに

関係ないじゃん!」


「いや、俺が彼女にしたい女が、

こんな見た目冴えない男と喋ってるところ、

見せられたら頭にきて、つい...!」


「いい加減しつこいから!」


「昨日の放課後!藤島くんの告白の返事、

私ちゃんとしたじゃん!あなたとは絶対付き合えないって!」


「いやでも...前は俺に気があるみたいな

噂、流れてて...」


「ちょうど昨日!」


「私、気が変わったのよ...!

ごめんだけど!」


「な....!?」


「何があったんだよ...!?

まさか、この、ど陰キャが関係しているのか...?」




ああ...。


朝のホームルームだがな。


先生、早く来て始めてほしい。


あと、5分くらいしたら出席簿持って来てくれるかな、、?



俺の座席周りは。


ザワザワと嫌なざわめきに支配された。

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