12. 合法エッチ


 ぺたんとレジャーシートに横たわった小依こよりのおっぱいが見える。これを横乳と言うのか? ハミ乳? いやもはや後ろ乳。


「早くぅー。小依ちゃんの玉のような肌が日焼けしちゃっても良いんですかぁー?」


 プールサイドで日焼け止めを塗る。それは確かに合法的かつ自然な行為である。あそこでも、そこでも、あんなところでも。皆一様にせっせと日焼け止め塗りに精を出している。ここはおっぱい天国か?


「分かった。仕方ない」


「よろしくですぅー」


 うつ伏せになった小依に向かって手を伸ばす。すべすべした肌をローションでぬるぬるにしていく。


「ん。ああんっ」


「変な声を出すなっ。いやらしいことをしているように見えるだろうがっ」


「いやぁん。先輩に汚されちゃうー」


「くそっ。早く終わらせるぞ」


 万が一こんなところを塩瀬に見られたら、誤解されかねない。ましてや前回の騒動で、俺に対する信頼度は陰りを見せている。ここは触りたい心を抑えつつ、平常心で終わらせるのが最善と言えるだろう。


「ほら、終わったぞ」


「はぁん。気持ち良かったぁ。でもまだ終わってないですよぉー」


「なんだ、もう全部やったぞ。塗り残しなどあるはずがない」


「お・し・り」


 プリプリとけつを揺らしながら小依は言った。


「小依ちゃんはお尻が大きいので、自分で全部できないんですぅー」


「バカ言え。こんなところでケツを触るわけにはいかんだろ。自分でやれ」


「そんなー、珠木先輩はぁ、乙女の肌の一枚守れないほど、短小さんだったんですかぁー? 童貞のプライドはどうしたんですかぁー?」


 何だと。

 そこまで言われたらやるしかない。俺だってお尻を揉みたいんだ。小依のTバックに手を伸ばす。 


「もみもみ」


「ああっ。もっと練り込むようにやっちゃってくださいぃー」


「ここか。こういうことかぁ? うどんのようにこねてしまうぞぉ」


「あっ、あっ。やあんっ」


「やってしまうぞぉ。もう手加減はしないぞぉ」


「あっ。やんっ。そこは危ないです。でんじゃぁーぞーんですぅー」


「ぐふ。ぐふふ」


「何をしているんですか?」


 すかぽんと頭を叩かれて正気に戻る。見ると警棒を手に持った塩瀬が、ポタポタと滴をたらしながら立っていた。


「今、公然とお尻を揉んでいるように見えたのですが」


「違うんだ、これは。日焼け止めを塗っていたんだ」


「いやらしいあえぎ声が聞こえたのですが」


「違いますぅー。私はくすぐったがりなので、ちょっと変な声が出ちゃっただけすぅー。それより塩瀬パイセンも日焼け止めを塗ったらどうですかぁー? きれいな肌が台無しになってしまいますよぉー」


「必要ありません。遊びに来たわけではありませんから」


「紫外線は乙女の大敵ですよぉー。最近の研究ではぁ、日焼けは余分な角質を溜め込んでしまうのでぇー、乾燥肌になりやすくなってしまうんですぅー。それにぃ、オゾン層の破壊によって、地表に降り注ぐ紫外線は年々強くなっているんですよぉー」


「ふむ。そう言われると確かにそうかもしれません」


 塩瀬は納得したように、レジャーシートにうつ伏せになった。


「小依さん、お願いします」


「えぇー。先輩にやってもらわなくて良いんですかぁー? 日焼け止めマイスターですよぉ」


「いくら先輩と言えど、殿方に嫁入り前の身体を触らせるわけにはいきませんから」


 残念だ。俺ほど品行方正な人間もいないと言うのに。


 小依が水着の紐を解くと、塩瀬は恥ずかしそうに頬を赤くさせた。


 おおっ、後ろ乳だ。


「じゃあ塗り始めますねぇー」


「早く終わらせてくださいね」


「もみもみー」


「やっ。あっ」


 全身を舐めるように触れていく小依の手に、塩瀬は変な声をあげた。


「何をしているんですかっ。そんなところはやらなくて良いですっ」


「えぇー、普通ですぉー。太陽に分別はありませんからねぇー」


「あああっ。前は自分でやりますからっ」


「良いですよぉー。私とパイセンの中じゃないですかぁー。コリコリー」


「ふやんっ」


 眼福がんぷく、眼福。ともすれば乳が見えそうではないか。


 いかん鼻血が。


「せんぱい。せんぱい」


 これ見よがしに塩瀬の乳を揉みながら、小依が俺に手招きをした。


「代わりたいですかぁー……?」


「バカ言え。すぐバレるだろ」


「バレないですって。塩瀬パイセンは快感をごまかすのに必死ですからぁー。クスクス」


 さっきから唇を噛みしめながら、ビクンビクンと塩瀬の身体が震えている。


 試しに背中に手を置いてみたが、何か気がつくような様子はなかった。


 ふむ。


「もみもみー」


「やっ、ちょっといきなりそんなところ……」


「お尻を日焼けしちゃうと大変なんですよぉー。おしっこする時にヒリヒリしても良いんですかぁー」


「汚い話をしないでくださいっ。あっ、ちょっと、揉みすぎですよ。小依さんっ」


 揉んでいるのは俺だ。


「もみもみー」


「あっ。なんか小依さん手が大きくなってませんか!?」


「大きくなってないですよぉー」


「しかし、さっきよりも手つきがいやらしいような気がしますっ」


「むん。ぶふう」


「その鼻息は委員長ですね! いつの間にいれかわったんですかっ!」


「バレちゃいましたねー。でももう遅いですぅー」


 お尻の近くを揉んでいた俺の隣で、小依が塩瀬の後ろ乳を揉み始める。


 4本の手で揉みほぐされながら、塩瀬はビクンビクンしていた。


「うにゃあっ」


「ふふふ。可愛い鳴き声ですねぇー。パイセンもいやらしいことを大好きにしてあげますよぉー」


「あっ、ひゃんっ」


「むん。ぶふう」


「あっ、あっ。やめなさいっ。あっ」


 最高だ、お尻。


「君たち、ちょっと来てもらっても良いかな?」


 プールの監視員と警備員と警察が俺たちを見下ろしていた。

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