第14話 雨の後


「あ! 雲がまた陶器になってる! 」


「本当! わたしも初めて見たのよ、魚まで陶器だったの! 」


「え? それも見たかったな」


 私たちは二人、あの陶器の道を進んだ。ソーサーの彼女は、私以上に、すまないような顔をして、この道を歩いた。そして道の先にユニコーンさんがみえると、白いスカートはふわりとゆれながら、まっすぐに走って行った。


「ユニコーンさん・・・ごめんなさい」

「え! どうして君があやまるの? 」


二人は話し始めたので、私はわざとゆっくりと進んでいると、

「あ! 」とちょっと大きな声を出してしまった。

何故なら皆がまた陶器の姿へと変わっていったから。草も木も花も、なんだかさっきよりきれいな気がした。

「雨で洗われたからかな? 」と考えながら歩いていると、私も二人のところに到着した。


「とう子ちゃん、ありがとう」

「私は何にもしてないよ、ユニコーンさん」

「いえ、とう子ちゃんがいてくれたおかげよ、きっと。だって、森がとっても美しいもの」

「それはきっと、二人の誤解ごかいが解けたから。なぞなぞみたいに」

「ハハハ、そうかも、すごいねとう子ちゃん」

「フフフ」彼女が笑ったすぐ後だった。


「わあ!! 可愛い!!! 」


彼女は美しい陶器の人形になった。少しニッコリとしたワンピースの女の子。今まで見たどんな陶器の人形よりも本当に一番素敵だった。私にとっては、可愛いソーサーがそのまま人形になったのだから。


「ああ! 見せてくれてありがとう! 」

「ああ、とう子ちゃん、そろそろもどらなきゃ」

「うんそうだね、さようなら」

「さようなら、とう子ちゃん」

表情の変わらないまま、陶器の彼女はそう言ったので、私たちは、最初の白い世界に戻った。



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