第6話 デートプラン(仮)

 唐突にデートのお誘いを受けてしまった。


 なんだかんだ、後輩は恋人関係を大事にしようとしているのだろうか?


 「デート…そんなんでいいのか?」


 「はい!ぜひとも頼りになる彼氏さんに、お願いしたいんです」


 「でもさ、俺は金欠だから、そんなに頼りにはならないと思うよ?」


 さっき甲斐性なしって言っていたぐらいだから、後輩も俺がお金がないことは知っているはず。


 「はい!お金は大丈夫です。何なら、安いところで割り勘でもいいです」


 「おぉ…それは助かるけど、なんで?」


 「気になりますよねー、まだ、お金を支払ってもらってないんで仮ですけど、私って美人で可愛くて思いやりがあって愛らしい彼女じゃないですかぁ」


 そうだね、でも愛らしいとは誰も言っていないけどね?


 「そんな私なので、だれかれ構わず好かれてしまうんですよー。最近、遊びに出かけるとストーカーらしき人がついてくるんですよね…」


 「…まじかよ、見間違いとかじゃないのか?」


 「はい…今のところ実害はないですが、ちょっと不安で…」


 普段は明るい後輩が珍しく落ち込んでいる。たしかに、誰からも人気のある後輩だ。


 ストーカーがいるなんてことは、なくはないかもしれない。


 「でもまぁ、私に彼氏がいると分かれば諦めるかもしれないんで、少しだけ協力してもらえませんか?」


 「あぁ、いいよ。何かと物騒だしな」


 「さっすが、頼りになりますねー!美人で可愛くて思いやりがあって愛らしい天使な彼女想いの彼氏さんは!」


 声が明るくなった、いつも通りの後輩だ。最近は先輩らしい事をできていなかったし、後輩が元気になるならボディーガードがわりくらいにはなるか。


 「まかせろ!美人で可愛くて思いやりがあって愛らしい天使でチャーミングな彼女のためならデートくらいな!」


 「…やるじゃないですか///。案外、特徴を言われるのって悪くないですね…」


 お、自爆か?なんかしらんがやってやったぞ(笑)


 「セクハラな隠キャで変人童貞根暗で小心者の日和見2割増しせんぱいのくせに…///」


 ぐ、自爆か…なんかしらんがやり返されたぞ(怒)


 「…存外、特徴を言われるのって気分の悪いものだな…」


 ほほを赤く染める彼女(仮)。ひたいに青筋を立てる彼氏(俺)。そのあと、週末に恋人が良く利用するデートプラン(仮)が決まった。


◇◇◇◇◇


 部活の後にそんなやりとりをしていたからか、すっかり遅くなってしまった。


 家に着く頃には辺りはだいぶ暗くなっていた。


 ヴヴッ。ポケットに入れていたスマホが震える。また後輩かと思うと、メッセージの相手は幼なじみの母親だった。


 『ウチの子、そちらに行っていないかしら?まだ家に帰っていなくて…』


 あいつ、どこかでより道でもしているのだろうか?


 別にやましいところはないが、昨日の今日で別れた相手の母親と、メッセージのやりとりもなんだか気まずい。


 『いえ、来ていないですよ?自分もちょうど今、家に帰ったところですし、もうすぐ帰ってくるんじゃないですかね?』


 『そうだといいのだけれど...携帯にも連絡がつかないし。あの子、最近ダイエットだっていって、昨日から何も食べてないのよね…なにか連絡があったら教えて頂戴ね』


 『はい、分かりました』


 まったく、連絡くらいしろよな...親にも心配かけるなんて...

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