第3話 後輩も生意気

--翌朝--


 一時は暗い気持ちになったが、今はとっても自由だ!そんな開放感に浸っていた。


 「せんぱい、おはようございまーす。今日も、冴えない顔していますね!」


 せっかくの晴れ晴れした気持ちを曇らせるような呼びかけを受けた。


 「うん、おはよう。お前はなんでそんなに朝からいきいきしてるんだろうな」


 声の主は、1つ下の後輩。


 「せんぱいが隠キャだから、私ですら明るく見えちゃうんでしょうねー」


 何かと、俺を下に見てくる。


 「陽キャさんは住む世界が違うから、用がないならどっかいってくれ」


 「それはそうと、昨日せんぱいが彼女さんに振られているところみましたよー。やっぱりぃ、せんぱいには不釣り合いなくらい美人でしたもんね」


 見ていたのか


 「ほっとけ」


 ふられたのを知っていて、わざわざ話しかけに来たのか。


 「美女と野獣って言われていたぐらいですから、しょうがないですよねー。何なら、私が付き合ってあげましょうか?もちろん、せんぱいのおごりで」


 男女交際のおごりとは?


 「金目的じゃねーか… 遠慮しときます」


 やっと、解放されたのに同じ事はしたくない


 「えー、私くらいの女の子なら、いくらでも出すおじさんだっているくらいですよ?だから、せんぱいだったら2割増でいいですけど」


 なぜか、不思議そうな顔をしている。


 「増してんじゃねーよ。というか、付き合わないよ…」


 「ふーん、もったいないことしますね」


 何がもったいないのだろうか?


 「というか、本当に用がないなら早くどっかいって?お前も、美人なんだから変な間柄に見られるだろ」


 後輩も、幼なじみに負けない位の美人である。部活動でしか、会わないが何かと話しかけてくる。


 「せんぱいが変な人だから変に見られるのは、生まれつきのことですよ」


 そして、生意気である。


 「変じゃないし。そういうこと言ってるんじゃないし」


 「まぁまぁ、傷心のせんぱいをねぎらっているんですから、こういう時くらい私のことを好きになってもいいですよ?とりあえず、5万円くらいからで彼氏を名乗っても」


 こいつなりの、慰めなのだろうか。しかし、高い…


 「今はそういう気分じゃないんで。間に合ってます」


 「じゃあ、気が変わったら入金待ってます!」


 笑顔で、立ち去っていった。しかし、幼馴染と付き合って1ヵ月だったが、金欠になっていた俺には無縁そうだ。


◇◇◇◇◇


 昨日は、カッとなって別れちゃったけど、あいつの事だし、すぐに謝ってくるよね…!


 「おはよう、今日は1人なんだね」


 友ちゃんだ。


 「うん…結局、別れちゃったんだ。でもすぐに頭を冷やして告白してくると思うんだ」


 そうだよね、あいつもあたしと別れるのがショックで思ってもないこと、言っちゃったんだろうな。


 「そうだったんだ。まぁ、少しの間だけならそんなに重く考えなくていいんじゃない?」


 うんうん、やっぱり友ちゃんは分かってるなー。あいつはあたしがいなきゃ、何にもできないんだし。時間の問題だよね。


 「そうだよね、ちょっとの間あいつの世話をしなくて済むと思えばいいよね」


 なんか、友ちゃんと登校する朝は新鮮だなぁ。今ごろ、あいつは、何してんだろ?


 「いつもは、彼と一緒に登校してたの?」


 「うん、あいつほっとくといつまでも寝てるからね。起こしに行ってたんだ。あたしと付き合うことで人間らしい生活していたんだから」


 そうそう、迷惑そうに言っていたけど、幸せそうな顔してたなー。


 「じゃあ、彼が音をあげるのも時間の問題だね。ちょっと昨日のことが、心配だったけどそこまでわかってるなら問題ないか」


 心配してくれてたんだ。まぁ、あいつにも少し悪い事したかもなーなんて。次のお休みには、あいつの好きなものを作ってあげよう。


 「あれ?あの2人って彼と後輩の子?」


 友ちゃんが前の方を見て言う。確かにあいつが後輩の女の子と歩いている。


 「あぁ、そうね。そういえば、よくからかってくる後輩の子がいるって言っていたわ」


 「そうなんだ、なんだか仲良く見えたから」


 そうだよね、大丈夫だよね…ちょっと後で話しかけてみようかな。

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