罰ゲーム彼氏だった俺はフェードアウトを決め込むことにした。

としょん

第1話 罰ゲーム彼氏

 俺には最近彼女ができた。それは1ヶ月前のこと。


 「あんた、どうせ彼女なんていないでしょ?あたしが付き合ってあげるわ」


 小さい頃からの幼なじみで、彼女からの突然の告白。


 「え、あ、うん。えーとこれからよろしくね」


 特に不満なこともなく付き合うことにした。


 「あたしと付き合えるなんて、あなたにとってはこれ以上ない幸せね」


 容姿の整った彼女は、確かに俺には不釣り合いなくらいだった。


 「あたしの趣味は、基本的にアウトドアだから、あなたもゲームや本とかにお金を使うんじゃなくて、あたしのために使いなさい」


 それからの俺は、今まで趣味で集めていたもの、ゲームや本は彼女の前ではできなくなった。


 「週末はテーマパークに行くわよ。全部あなたの奢りね」


 笑顔で言う彼女、なんというか充実した感じがした。


 「冗談だろー?」


 なんていう、初々しい恋人同士のやりとりに、幸せを感じていた。


 「あたしが、彼女として隣にいるだけであなたは幸せよね。本当は、あなたから告白するべきだったんじゃない?」


 いままで、長い付き合いで、友達としか思っていなかったから、恋人としてはあまり意識していなかった。


 「そうかもしれないね」


 自信満々に話す彼女。


 「本当は、イケメン君に告白されていたんだけどね。やっぱり、あなたはあたしがいないとだめだから」


 なんだかんだで俺のこと考えてるんだなー。


 「はいはい、日頃からお世話になっております」


 軽く返事すると彼女は、


 「ふふん!初めてあたしと付き合うんだから、彼氏として頑張りなさいよ。じゃないといつだって、あたしを待っている人がいるんだから」


 彼女は俺に対して手厳しいところがあるが、愛情表現をするのが下手なだけだと思っている。


 「がんばりまーす」


 生まれて初めて出来た彼女だけあって、色々なとげとげした言い回しにも少し幸せを感じる。


◇◇◇◇◇


 ある日のこと、彼女とその友達が、一緒に歩く姿をみかけた。


 「あんた、やっとあいつと付き合うことにしたの?」


 あれは確か、幼なじみの高校からの友人だ。


 「まぁ、今はお試しみたいなもんだけど」


 どうやら付き合った話をしているらしい。


 「お試し?」


 声をかけようと思ったが、後にしよう。


 「これは、罰ゲームよ。あたしが何もなしにあいつに告白するわけないじゃない」


 俺と付き合ったのは、罰ゲームだったのかよ...


 目の前が真っ暗になったおれは、声もかけずに帰ることにした。

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