第476話 生還と宴Ⅱ
「ただ、ユニークスキルを使えたとしても
「そこはもうアスモデウスさんと、アスモデウスさんが連れてくるかもしれないルシファーに任せるしかないですね。俺は引き続き
「成程な。それにユニークスキルを使う事ができれば、ナリユキ殿お得意の岩山落としもできるしな」
「いや、別にあれ技名ありませんから」
「でも、ナリユキ君と言えば、岩山を落として敵を撃破するイメージ強いよね。ランベリオンさんを倒した時も、カルベリアツリーで魔物を一気に撃破した時も、アードルハイム帝国の帝都を壊滅させた時も全て岩山だもん」
「もっと言うのであれば、ナリユキ殿の
「そう考えるとナリユキ君の
「そうだな」
ミクちゃんと
「そう言えばアードルハイムはどうなったんですか?」
「被害は甚大だな。しかし、アードルハイム帝国を事実上統治しているラングドール殿が、何とか国民を励ましながら復興に力を尽くしている。
「そうでしたか――。建物は俺のスキルで何とかなりますけどね」
「そうだな。しかし、怪我人の治癒や心の傷を癒すことはなかなかできない。そして
「そうですね。ラングドール。相当大変だよな」
「余も感じたが、ラングドール殿がアードルハイムの国主で問題ない。若いがナリユキ殿と同じで優秀だ。少々不器用なところはあるがな」
――あれ、ちょい待って。
「そう言えば、俺って眠ってどれくらい経っているんですか?」
「一日だ。それほど長い眠りについていた訳ではない」
「長いのか短いのか良く分からんな……」
「まあ、こういうのも何だが、皆気が気ではなかったぞ。もちろん、余もその一人ではあったがな」
「ですよね」
俺は思わず苦笑いをしてしまった。
「ナリユキ! 大丈夫かい!?」
「おわぁ!」
ノックも無しでいきなり入ってきたのはルミエールとクロノスだった。
「また、破天荒な王がやって来たな」
「大変失礼いたしました!」
ルミエールはそう清々しい謝罪を行った。クロノスもルミエールと同様、頭を下げて謝罪を行っていた。
「ノックも無しで入ってくるかよ」
「だって心配だったからさ。でも無事でよかったよ」
そう言って涙を拭うルミエール。
「心臓を貫かれたとお聞きした時は耳を疑いました。お身体は大丈夫でしょうか?」
クロノスの労いの言葉に「大丈夫だ。ありがとう」と返答をすると、クロノスはホッと胸を撫でおろしていた。
「そうだ。今日宴をやるんだ。二人も一緒にどうだ?」
「おお! ナリユキと久々に飲めるんだね! 是非参加するよ!」
「
「勿論だ。せっかくの機会だからな。どうせならマルファスも連れてこようか? 魔族同士で話したいこともあるだろう?」
「いえいえ。私には勿体ない御言葉。気持ちだけで十分です。宴の場では是非、
「良いだろう。ミク殿、日本酒の用意もお願いできるか?」
「勿論ですよ」
ミクちゃんがそう満面の笑みで答えると、
「楽しみだな。早く宴始まらないかな~」
「そんな簡単に準備できるもんじゃねえよ。あと三時間は待ってくれ。皆急いで準備しているからよ」
「分かってるよ~」
そう頬を膨らませるルミエールは子供そのものだった。なんか気を許したら子供っぽくなる性格、もしかして恋人なかなかできないんじゃないか? という余計な心配をしてしまう。
「ナリユキ殿の前ではただの子供だな」
「さてここにいても仕方ないし、フライングでお酒でも飲みますか?」
俺がそう言うと、
「ミクちゃん。barに案内しようぜ!」
「いいよ~。皆さん、私が先導するのでついて来て下さい」
ミクちゃんはそう言って医務室の扉を開けた。
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