第275話 第2ラウンドⅢ
「どういうことだ?」
「そのままの意味だ。そもそも何の作戦も立てずに正面から突っ込むと思うか?」
確かにそうだ――。そう言わざるを得なかった。ただ、しかしもしそうだとしたらいつ潜入されたんだ? そもそも敵は誰なんだ?
俺はそう考えているとマカロフ卿が放つ鉛弾を喰らってしまった。
「流石の貴様でも動揺は隠しきれないか」
そう言ってマカロフ卿は、コルト・パイソンとマカロフの
俺がギロリとマカロフ卿を睨むと、マカロフ卿は「あ?」と睨んできた。
「この勝負に
「何をする気だ……?」
マカロフ卿はそう言って警戒をしていた。但し、その警戒は無駄だ。
俺は
「クソっ! どうなっていやがる離せ!」
俺はマカロフ卿の頭を掴んだ。
「まさかこれは――!?」
マカロフ卿は知っている――。いや――魔物の国の国主がアードルハイム皇帝のスキルを手に入れたことは、全世界の新常識となったのだから。
「やられるのは初めてだよな? マカロフ卿」
「
「ご名答だ。今からアンタと俺の間で契約を行う。勿論破った人間は死ぬ。悪魔が互いの心臓を握るスキルだからな。覚悟はいいか?」
「おのれええええ……」
まあそう言うだろうな。俺でもそう言うわ。
「なら、契約開始だ。マカロフ卿――さっき言っていた奴等とは一体誰で、何人で、マーズベルのどこに、何の為に襲撃を仕掛けたんだ? それを答えてもらうのだが条件だ。大丈夫だ。本当に知らなければ知らないという回答でも命を奪われることは無い」
マカロフ卿は黙ったままなので俺は続けた。
「その代わり、俺がアンタに提示する条件としてはアンタの城にヴェドラウイルスの瓶をばらまき、メリーザを重症化させたかどうかだ?」
「メリーザについて? 貴様がやったと認めるのか?
「いや、そうじゃない。あくまでメリーザ達が感染したヴェドラウイルスの真実を伝えるだけだ。俺が嘘を言ったら当然死ぬから問題無いだろ? マカロフ卿――アンタが一番知りたい情報のはずだ」
マカロフ卿は何かを言いたげだったが――。
「好きにしろ。こうなった以上私が抵抗できないのは始めから決まっている事だ」
そう小さく呟いた。
その瞬間、俺とマカロフ卿の心臓は得体の知れない何か掴まれた気がした。これが命を握られるという感覚か。自分でやっといて何だが気分が悪くなるな。
俺は呼吸を整えた。
「ではまず、マカロフ卿。アンタからだ」
「そう言えばそうだったな」
マカロフ卿は半ば諦めていた。この口ぶりからすると
「アグリオスという男が中心の巨人族が5人。
それはマズい――。それに巨人族とか
「て――事は」
「今頃
マズい。そんなヤバそうな奴等ロドベルト達の実力じゃ勝てないぞ。それにアリシア達も向かっている。
「ミクちゃん! 今すぐに
「分かった!」
「無駄だ。今から行っても遅い。それにアサギ・ミクの実力で勝てるかどうか……」
マカロフ卿がそう言っている間にミクちゃんは
「何?
――マカロフ卿ってたまに馬鹿だよな。ワイズがいたら「アホかテメェは!?」とか言われていそうだけど。
「さてな」
こう言っておけばマカロフ卿は勝手に
「次は貴様だぞ。ナリユキ・タテワキ」
「アンタ達の所へはヴェドラウイルスを撒いていない。それにアンタ達の城へ連行される前から俺の国はヴェドラウイルスでバタバタしていたんだ。魔眼を持っているレン・フジワラがいたから、俺を含めた城へ潜入した人間が、ヴェドラウイルスに感染していなかった。つまり、意図的にも故意的にもアンタ達の城の中にいるネズミ一匹ヴェドラウイルスに感染する可能性は0%だ。アンタの記憶を、
するとマカロフ卿は確かにと呟いた。
「ランベリオンとミユキ・アマミヤの顔をした何者かがヴェドラウイルスが入っている瓶をスモークと混ぜて菌を拡散させたようだ。俺の命令でも無いし、扮した人間であってランベリオンとミユキ・アマミヤ本人達ではない」
俺がそう言いきり数秒した後、互いの心臓を掴んでいた悪魔との
「まさか……では一体誰が!?」
俺がマカロフ卿の頭を掴むのを止めると、マカロフ卿は俺には攻撃を仕掛けず、頭を抱えて何かを必死に思い出そうとしていた。俺はこの件についての考察とマカロフ卿から奪った記憶を
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