第274話 第2ラウンドⅡ

「グッ……!」


 狙撃手により全ての散弾銃が足に当たる。勿論拡散しているから何発かは外れているが――。


 そう射撃をしている時だった。


悪魔の分身イビル・アバター


 マカロフ卿が分身体を5人出した。正直、これを出されるとどれが本物かは分からない。それに漫画でよくあるマカロフ卿の力が分散されるという訳ではないから厄介だ。


「喰らえ! ナリユキ・タテワキ!」


 6人のマカロフ卿はスペツナズナイフを持って一斉に襲い掛かって来た。マカロフ卿が俺にわざわざナイフで襲い掛かって来るときは必ず何か意味がある。


 俺はひたすら避けては、二挺持ちデュアルハンドのショットガンで応戦していた。しかし5人と6人目の反応に遅れてしまった。


 ザシュ!


 何故か切られた感触がした。血も出ている。斬撃無効のスキル効果が発動していなかった。それに――。


「私のパッシブスキルの 猛毒の雫ベノム・ドロップだ」


 くそ――。そういう事か。一応危なそうなパッシブスキルだったから警戒はしていたんだけどな。俺はこのAA-12を二挺を拾われたら厄介だと思ったので、心のなかで念じて一旦消した。


 と、言うのも俺はこの神経毒のお陰で立てなくなっていたからだ。RPGのゲームとかならこのタイミングでボコボコにするんだろうな。


「仕返しだ」


 俺はそう言われて6人のマカロフ卿からコルト・パイソンの銃撃を一斉に浴びることになってしまった。


 勿論コイツ等は俺に対して容赦は無い。狙撃手で頭を集中砲火しやがる。


「この石頭め」


 神経毒で動けない状態なので、当然頭を手でガードをすることもできなったが、マカロフ卿が撃つコルト・パイソンより俺の頭の方が硬かったらしい。


 ん? 体が軽くなった。体中に巡る痛みも無い。俺は咄嗟にミクちゃんの方を見ると、ミクちゃんは小さく、サムズアップしていた。サンキュ。状態異常を解除してくれたんだな。


「流石にもう6発ずつ撃てばどうなるか分からんだろう」


 6人のマカロフ卿が口角を吊り上げて俺にジリジリと向かって来た。


大爆発エクスプロード!」


 俺が中央にいるマカロフ卿を標的にして手を向けると、マカロフ卿は見事に爆発を起こした。爆炎の中に包まれているマカロフ卿。その中にある影は1つしかなかった。


「クソ。ミク・アサギの援護を受けていたのか」


 そう言ってスーツに付く土埃を払いながら、ケロっとした表情を浮かべて出てくる本物のマカロフ卿。


「驚いた。へっちゃらだな」


「格上が相手だと攻めるタイミングが難しい」


 マカロフ卿はそう言って舌打ちをしていた。何故、奴はこうも何度も立ち上がって来るのか。再生などのスキルが無いのに相当戦いづらい。アヌビスより戦いづらくないか?


「元軍人ってのはそんなに手強いのかよ」


「そういう貴様ただの一般人だろ。ムカつくぜ」


 マカロフ卿はそう言ってコルト・パイソンとマカロフの二挺持ちデュアルハンドで俺に向かって射撃をしてきた。俺は手から2m程の岩を出して銃撃をブロックした。


「クソ!」


 マカロフ卿がそう言って一旦リロードを挟んでいるのが分かった。俺はこの隙にロケットランチャーのRPG-7を取り出した。案の状小さい岩だったのでマカロフ卿は、俺を守ってくれている岩を破壊してきた。


「おはよう!」


「何っ――!?」


 岩を破壊して顔を出してきたマカロフ卿にRPG-7のロケットランチャーをぶっ放した。当然俺も爆炎に包み込まれるが俺には大したダメージは無い。少し痛いと感じるくらいだから何の問題も無い。大ダメージだったら痛感無効発動するしな。


「まだ死んでいないだろ? 出てこいよ」


 爆炎に包まれてユラユラと出てくる黒い影。


「まだまだ……」


 思ったよりかはダメージを喰らっているみたいだ。早いところ勝負を付けないと長引きそうだな。


 そう思うと俺は思わず苦笑いを浮かべていた。


「マジでどうやったら倒せるんだよアンタ」


「それはこっちの台詞だ!」


 マカロフ卿はそう言ってコルト・パイソンとマカロフの二挺持ちデュアルハンドで再び襲って来た。俺は身体向上アップ・バーストで高く跳び上がってマカロフ卿の銃撃を避けた。


「馬鹿め! 上に逃げても私の的になるだけだ!」


 マカロフ卿はそう言って銃を構えてきた。俺は自分より下に岩を出現させてその岩に乗った。当然岩は落下していくので銃撃は当たらない。


「クソ! 面倒臭いスキルだな!」


 そう言ってマカロフ卿は岩が落ちる真下から走って離れて行った。マカロフ卿は岩が落ちてくるのを持っていたようだが。


「いない!」


 マカロフ卿は辺りをキョロキョロと見渡していた。


「後ろだ!」


 俺は転移テレポートイヤリングでマカロフ卿の後ろに回り込んでいた。そしてマカロフ卿の背中に触れて復讐の時限爆弾リベンジ・タイムボムを仕掛ける。


「貴様! 何をした!?」


「俺はアンタの知性を奪ったんだぜ? じゃあ今仕掛けた攻撃は何だと思う?」


 マカロフ卿は数秒考えた後、ハッとした表情を見せた。


「貴様まさか――私の復讐の時限爆弾リベンジ・タイムボムを……!?」


「そのまさかだ。俺は今ここで復讐の時限爆弾リベンジ・タイムボムを使わない。じっくりと時間を重ねて潰してやるよ。助かりたいなら今のうちに降参するんだな」


「貴様――私が仕掛けた復讐の時限爆弾リベンジ・タイムボムを忘れていないか?」


「え……あれ解除したんだけど?」


「何……?」


 そう少し間があった後に「なんてことだ……」と驚いていた。さっき黙っている間に爆発するか試したんだろう。残念だったな。


「貴様どうやって――?」


「ん? 秘密に決まっているじゃん」


「そうか――まあいい。今頃奴等がついていることだからな」


 俺はマカロフ卿の不気味な言い回しに背筋に悪寒が走った。

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