第249話 ボスとQⅠ
ナリユキ・タテワキは脱出した。何はともあれ彼が無事なら、忌まわしい
私はミク・アサギ達にやられた兵士の
「ご苦労だったなメリーザ」
「いえ、とんでもないございませんマカロフ卿」
「ただ――」
そう言ったマカロフ卿の顔は剣幕なものだった。
「ナリユキ・タテワキに肩を持ったのは気に食わん」
マカロフ卿はまだ私が反抗したことを根に持っているようだった。それもそうだ。実はあれがマカロフ卿に対する初めての対抗だったからだ。いつも賛同してきたこの私に歯向かわれるとは夢にも思わなかったのだろう――それに私達は……。
「今後、妙な動きはするなよ。
「はい」
私がそう言うとふんと鼻を鳴らして振り返り、葉巻を吸いながら兵士達が横たわっている方へとマカロフ卿は歩いて行った。
すると黒いローブに身を包み、金色の蛇柄の仮面を付けた見知らぬ何者かが私の右側を横切った。男性か女性かも分からないが私が知っている人では無かった。
「
「ああ」
1人の兵士がそう言うと
私は、異常聴覚で10m先の
「仕方ない」
私は
隣に部屋があるのでそこから異常聴覚を使って盗み聞きしよう。
私は、兵士が
精神を統一させて
「大変な目にあったようだな」
「まあな。一体いつ潜入されていたのか知らんが、ナリユキ・タテワキの側近であるミク・アサギとオストロン連邦国の
「
「そうだ。生ける伝説
ふうと。大きく息を吐いた。いつもの如く煙草を吸いながら喋っているのだろう。
「それは運がなかったな。しかし、アヌビスという魔物が味方についたと聞いたが?」
「戦闘値7,000の化物だな。そいつはたまたま席を外していた。マカロフが言うには調べものをするために手を貸してくれているだけだそうだ。外出は自由にしていいという許可を出している」
「裏切られる可能性は無いのか?」
「そうなったら全力で抵抗するしかない。元々、7,000という圧倒的な戦闘値を持つ魔物と対峙して生き残っているマカロフ達は大したものだ。本当ならばその時点で命を奪われてもおかしくない」
「成程な」
「前置きはさておきアレの効き目はどうなんだ?」
アレ? というのは恐らくヴェドラウイルスの事だ。
「正直なところどうなっているかは分からない。マーズベルの対応が早くてな」
「それだと何の為にお金をかけてアレを撒いたのか分からんぞ!?」
「こっちはこっちの問題だ。別にアンタの金で撒いた訳ではないだろう? あくまで我々とアンタの目的が重ね合わさっただけだからな」
「それでこれからはどうするんだ?」
「そうだな。ヴェドラウイルスを飲んだ使者をもっと送り込む必要があるな」
「対策が打たれていたらどうするんだ? 例えば
「
「本当だそうだぞ?」
「それだと少しマズいな。どうやら
「何!?」
「まあ問題はない。対策は考えている」
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