第199話 星の授与式Ⅱ
「ナリユキ閣下、ミク様。一言ずつ頂いてよろしいでしょうか?」
「おう」
「はい」
俺とミクちゃんがそう返事すると、まずはミクちゃんから話すことになった。
「この度はお集まりいただき誠にありがとうございます。この場にお集り頂いた皆様は、マーズベルでも特に貴重な方々です。どうかリラックスして楽しんでいって下さい」
ミクちゃんがそう言って一礼をすると会場は大きな拍手に包まれた。
「ミク様ありがとうございます。続いてはナリユキ閣下お願い致します」
「先日、起きたアードルハイムの侵略は、皆の協力があったからこそ成し遂げることができた偉業だと思っている。だから、皆にはもう一度楽しんでもらえる場を提供したいという想いでこの場を設けたので存分に楽しんでくれ。そして、アードルハイムで特に優秀な成績を残した者に☆を授与したいと思っている」
俺がそう俺が発言すると会場がどよめいていた。
「それではナリユキ閣下こちらへ」
俺はミーシャに案内されて、後ろにある木製の台の後ろへ回った。この台には金の小箱が2つ置かれている。
俺は準備ができるとマイクを近づけて彼女を呼んだ。
「アリシア。俺のところへ」
すると、アリシアが「え? 私?」と戸惑いを見せていた。幹部連中からには当然だろうと言われて、
アリシアが俺の前に来ると、何やらソワソワして恥ずかしがっていた。感極まっているのだろう。絶対にドキドキしているよこの人。
「アリシア殿。貴女はアードルハイム帝国にとらわれていた人々と、アードルハイム皇帝の恐怖政治から国民を救った鍵となった。貴君のスキルが無ければ、今回の作戦を遂行することはできなかっただろう。かの国は他国にも多大な悪影響を及ぼしていた為、今回の一件で救われた人々は、未来の事も考慮すると何十億人はくだらない。その正確な作戦遂行能力と大国の立ち向かったその勇気を称えて☆を1つ授与する。受け取ってくれ」
俺がそう言って笑みを浮かべながら渡すと、アリシアは涙を流しながら「ありがとうございます」と言って、俺の手元にある金の小箱を手に取った。
「開いてもいいですか?」
「ああ。皆に見せてやりな」
アリシアはそう言うと嗚咽を堪えながら、会場の皆の方へ向き、勲章を高々と挙げていた。
「ありがとうございます」
もう一度俺の方に向いて頭を下げた後、皆の方も向いて頭を下げていた。
アリシアを包みこむような拍手と歓声。数秒程してからアリシアは頭を上げて自分の席に戻って行った。
「続いてはベルゾーグ」
すると、ベルゾーグも「拙者か?」と自分に指を指しながら席を立ちあがって壇上へ来た。拍手で迎えられながらも、怪訝な表情を浮かべながらこっちへと向かってきた。
ベルゾーグが俺の前に来ると、ベルゾーグは俺に小声で。
「本当に拙者でよいのか?」
「手違いじゃねえって」
俺がそう言うとベルゾーグは「そうか」と一言。
「ベルゾーグ殿。貴殿はアードルハイム帝国にとらわれていた人々と、アードルハイム皇帝の恐怖政治から国民を救った鍵となった。貴君のスキルが無ければ、今回の作戦を遂行することはできなかっただろう。かの国は他国にも多大な悪影響を及ぼしていた為、今回の一件で救われた人々は、未来の事も考慮すると何十億人はくだらない。その正確な作戦遂行能力と大国の立ち向かったその勇気を称えて☆を1つ授与する。受け取ってくれ」
「かたじけない」
ベルゾーグはそう言って俺が出した表彰状と金の小箱を受け取った。
「開けても良いのだな?」
「ちゃんと皆に見せろよ」
「ああ」
表情はまだ戸惑っているが、ベルゾーグは皆の前で軽く勲章を挙げた後、アリシアと同じく俺に頭を下げてから、観客席の方に向かって頭をしばらく下げていた。
このように、アリシアとベルゾーグに勲章を授与したが、残念ながら今回はノアとアリスの勲章は無しだ。アリシアとベルゾーグの働きがあまりにも大きかったので、授与せざるを得ないが、2人に関しては条件的にまだ厳しい感じだった。だから、後でノアが拗ねそうな気もするがそこは何とかして切り抜ける予定だ。
「ナリユキ閣下ありがとうございました」
ミーシャがそう言うと俺に対しても拍手が起きたのでそこは別にいらないだろ思ったり思わなかったり。
俺とミクちゃんは役目を終えたので、壇上から降りて幹部達が座っている円卓のテーブルへと向かった。
「式典を終えましたので、これより食事会を始めたいと思います。お手元のグラスをお持ちください」
ミーシャの合図により俺達はグラスを持った。
「それではいきます。乾杯!」
「乾杯!」
会場全員が一体となってそう声を上げた。高々と挙げたグラスに入っていたシャンパンは、煌びやかな輝きを放ちながら、このめでたいパーティーの狼煙を上げた。
オストロンに行った時に出て来た料理は勿論、この国では好評なだし巻きなどもメニューとして組み込んだ。
「ねえねえなりゆき君」
隣にいるミクちゃんがそう言って、俺の肩に指をツンツンとさせてきた。あざと可愛い。
「なんだ?」
多分俺は照れながら言ってる。顔ちょっと熱い。
「もう一回乾杯しよ?」
「そうだな」
俺がグラスを差し出すと、ミクちゃんは俺のグラスの中盤辺りにコンと当ててきた。
「一番手もらい」
ミクちゃんはそう言って満足気な笑みを浮かべながらシャンパンを口に運んだ。
「そうだな」
俺は軽く香りを楽しんだ後、シャンパンを口に運んだ。
「美味い」
ここのところお酒を飲んでばかりだ。しかし、何度も口にしても飽きず、つい口に出してしまう程美味しいのがお酒の強みだ。
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