第152話 救出Ⅴ
「ナリユキさん、エライ怖い顔しとるな」
「ガープが引き受けた仕打ちは酷いものだった。この人の記憶や知識が今俺の中に入ったのさ」
「ナリユキ様。念波動の数値が格段にアップしております。その数値、6,000になっています」
「それだけじゃない。俺はガープが持っていて、俺が持っていなかったスキルを手に入れた。それにユニークスキルもな――」
「ナリユキさんめちゃくちゃ強くなっていますよね。パッシブスキルは、スキルリターンⅤ、スキルバリアーⅤ、念波動Ⅴを習得して、アクティブスキルは
「それにしても6,000って上がりすぎちゃう?」
「それは恐らく、ナリユキ様がスキルリターンと、スキルバリアーを習得したことによって、アクティブスキル、打撃、斬撃でダメージが入らなくなったからでしょう。この3つがパッシブスキルで無力化できる個体は非常に稀なので――。ナリユキ様に攻撃を加えるのは、銃撃、精神攻撃、ユニークスキル、アルティメットスキルの4つとなります」
「大分絞られたな。じゃあ攻撃系統のユニークスキル持っておくか、対個人向けのアルティメットスキルを習得しておかないとアカンわけや」
「レン様がお持ちの魔眼を上手く活用すればナリユキ様に勝てるかもしれませんね」
「いや、
と、アリシアに突っ込みを入れる。
「後は、ランベリオンさんや、ベルゾーグさんみたいな効果も有効ですね」
と、ミクちゃん。
「倒す方法は割と色々あるぞ。先を急ぐぞ」
俺はそう言いながらガープを担いだ。
「なんや。持っていくんですか?」
「放っておけないだろ」
すると、レンさんはハアと溜め息をつく。
「しゃあない。俺の
「有難うなレンさん。よし、早く残りの皆を助けに行くぞ」
すると、皆の「オー!」という活気に溢れた声がこのフロアに響き渡った。アードルハイム皇帝の地下牢。非常にリスキーではあるが、ガープの意志を継いだ俺は、さらに何が何でもこの課せられた責務を全うしなければならないという念に駆り立てられた。
アードルハイム皇帝の地下牢へ着くと、やはり帝国兵の軍団がいた。厳戒態勢になっているのか、1フロアに500人程いたが、それでもこっちは数でも有利な状況となっていた。そもそも、俺、ミクちゃん、アリシア、レンさん、そしてメイがいる。数がどれだけいようと、俺達5人だけで、国1つ分ほどの軍事力になる。
先陣を切っている俺はひたすら
1人だけを吹き飛ばそうとしても、どう考えても10人以上まとめて吹き飛んでいる。それは後ろにいる連中が巻き沿いを喰らっているからだが――。
そうして、あっけなく帝国兵達が片付くと、ミクちゃんとアリシアのスキルが放たれる。
「
「
先程と同様のスキルが放たれて、辺りのカメラと牢は全て破壊された。そして、先程解放した人々には1人1個の鍵を持たせているので、捕まった人々を開放するのは容易だった。それより
皆が一丸となって無事にアードルハイム帝国の捕まっている人々を開放することに成功した。
そして、
《ランベリオン聞こえるか?》
《聞こえるぞ》
《もう準備は出来ているか?》
《いや。それが我等は絶賛マカロフ卿と戦っていてだな》
《どういう事だよ。いや――。とりあえずどこにいるかだけ教えてくれ》
《レストンの丘というところだ》
《分かったすぐに行く》
「レストンの丘なんて場所、私知らないですよ」
そう拗ねてしまうアリシア。
「私なら行けます。アリシア様、私にその御力をそのまま頂いてもいいですか?」
「勿論ですよ」
そうやりとりして、アリシアからメイに緑色のような光が譲渡されたようだ。力をそのまま渡すって
そうして出発しようとしている時だった。ガープの記憶で出て来たあの忌々しいアードルハイム皇帝達がやって来たのだ。
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