第15話 女友達が二人いれば二倍楽しい

「なるほど、そんなことじゃないかと思ってた」

「……ハイ」


 湊は、上半身裸で自室の床に正座している。

 その前には、片膝を立てて座っている葉月。

 学校帰りで直行してきたので、黒いスパッツをはいたままで、丸見えになっている。


「それで、瀬里奈――ああっ、いつの間にかこいつも呼び捨てにしてんのよね。じゃ、あたしもいい加減に瑠伽るかって呼ぶよ」

「は、はい、葵さん」


 瑠伽と呼ばれて、瀬里奈は心なしか嬉しそうだ。

 その瀬里奈は、湊のベッドにいる。

 掛け布団で身体を隠しているが、肩は剥き出しだ。

 布団の下は、靴下しかはいてないことを湊は知っている。


「で、瑠伽……ど、どうだったの?」

「ど、どうって……」

 かぁーっと耳まで真っ赤になる瀬里奈。


「す、凄かったとしか……言えません……」

「それじゃ、あたしと同じ感想じゃん」


「……え、えーと……しょ、正直、なにをされてるのかよくわかんなくて、ぼーっとしてたら一回目は終わってました……」

「えっ、わかんない? い、痛いとかは……?」


 葉月がベッドに手をついて、瀬里奈の前に身を乗り出している。

 今度は、湊に尻を向ける格好になり、黒いスパッツに包まれたぷりんとした尻が丸見えだ。


「あ……い、痛いのはもちろんそうだったんですけど……み、湊くんが時間をかけて……ほ、ほぐしてくれたと言いますか……もうヌルヌルで、意外とするっとっていうか」

「ふわっとした言い方だけど、わかることはわかるね……」

 葉月が一瞬だけくるっと後ろを向いて、湊を睨んできた。


「痛かったですけど、湊くんがお上手で……な、なんかふわーっと身体が浮いてるみたいに気持ちよくて。激しかったので、すっごい衝撃が何度も身体の奥まで響いてたんですけど、それが良いというか……」

「…………」


 湊は、瀬里奈の説明に恥ずかしくなってしまう。

 いくら天然の黒髪清楚さんとはいえ、ここまで赤裸々に語るとは。


「す、すっごくて……な、何回も私……」

「……なるほど、なるほど」


 葉月はこくこくと頷いている。

 湊は、ますます恥ずかしくなってきた。

 身体を反らせ、隣の部屋まで聞こえそうな声を上げて達しまくっている瀬里奈の姿も鮮明に思い出してしまう。


「さて、湊寿也としやくん」

「……フルネームで呼ばれたの、何億年ぶりかな」

「ううん、あたしは別に怒ってないよ」

 葉月はベッドから離れて、ぺたりと女の子座りをする。


「だって、湊と瑠伽だって友達なんだから。二人だけで遊んでたって、怒るようなことじゃねーし。あたしだって、今日は友達と遊んできたし」

 今は、午後7時前。

 意外に早いお帰りだった。


「あたしもたっぷり身体動かしてきたよ。ほら、この近所にバスケットコートあるじゃん? あそこでストリートバスケやってきたよ」

「それは健康的なことで……」


「でしょ。湊たちも、たっぷり身体動かしてたみたいだね」

「ま、まあ、それなりにアクロバティックに……」

「つーかさぁ……」

 葉月は、湊の頬をぎゅーっとつねってきた。


「痛たたたっ、痛ぇって、葉月!」

「瑠伽、そんなに良かったんだ?」


「は、はい……は、初めてだったのに……あんなになるなんて……」

「ふぅーん、ふぅーん……」

 ぎゅっ、と葉月はさらに手をひねってつねってくる。


「なんかさぁ……あたしでじっくり練習して上手くなってから、瑠伽をたっぷり可愛がってやった感が凄いんだけど」

「そ、そんなつもりは全然なかったって……!」


「……でも、本当にお上手で……私、湊くんに顔を見られるのが恥ずかしくて、後ろからシてもらったんですけど……動かし方も強さも絶妙で……」

「い、いきなり後ろからだったの!?」


「は、はい。途中でやっぱり向き合ったりもしましたけど、ほとんどは後ろから……二回目は少し慣れたので、向き合ってぴったり抱きつく感じで……あ、あれ、いいですね。ちゅーしながら、その、下から突き上げられて……」

「瑠伽、なんでもかんでも素直にしゃべるよね……」


 葉月はさすがに呆れ、湊は正座したままでますます居心地が悪くなる。

 昨日、葉月とあれだけ――しかも今朝も、だというのに。

 今日の放課後には、この黒髪清楚な美少女と――とは我ながら、どうかしている。


「す、すみません、お友達には隠し事はしてはいけないかと」

「……それで全部?」

「だいたい……あ、一回目はそのまま最後まで……二回目は最後には私のほうからお口で……」


「ふ、ふぅーん……残り8個のままってことね?」

「はっこ?」


 瀬里奈がきょとんとして首を傾げている。

 湊は、黙ってこくこくと頷いた。


 葉月で全部使うという約束だけは、なんとか守った。

 無理に守らずに、使ったほうが瀬里奈のためにはよかったのかもしれないが。

 ただ、湊は本人が「無くても大丈夫」というので、それにすっかり甘えてしまった。


「今度は、別で瀬里奈用も買っとくよ……」

「こいつ、今後もまだヤる気満々じゃねーか。まあ、そうだろうけど。あたしも、今朝もまたお願いされたしね」


「残り8個も頑張って使います……」

「べ、別に頑張らなくても……もう話はわかった! 二人だけで楽しく遊んでたってわけね!」


「……お言葉ですけど、昨日は葵さんが湊さんと二人で遊んでたのでは?」

「おっ、瑠伽も言うじゃん。けど、そのとーり。これでおあいこってことで」

「は、はい。おあいこ、です」


 葉月がベッドの瀬里奈に手を差し出し、瀬里奈も同じようにして握手する。

 掛け布団がずり落ちて、瀬里奈の右胸があらわになっている。


「んー、瑠伽ってこんだけ可愛いからね。そりゃあ、湊もお願いしたくなるか」

「きゃっ、あ、葵さん……!」

 葉月は瀬里奈をベッドから引っ張り出すと、ちゅっちゅっと頬にキスする。

「可愛いー♡ あたしでも変な気分になるくらいだからね」

「そ、そんなこと……葉月さんのほうが可愛いですよ……」


「……と、この美少女さんは言ってますけど、湊の意見は?」

「葉月も瀬里奈も、両方可愛いに決まってんだろ」

「すばっと答えたね……その速さに免じて、それで勘弁してやるか」

 葉月は、すくっと立ち上がる。


「あ、瑠伽。あんた、門限は?」

「じ、実は葉月さんのお宅でお夕食をいただくって嘘をついてしまいました……」


「ははは、瑠伽もやるじゃん。そうそう、女子高生なら親を騙くらかしてでも遊ばないとね。それなら、時間はあるか」

 じーっ、と葉月は湊を見つめてくる。


「そろそろご飯でもいいけど、瑠伽のこれはちょっと問題だよね」

「問題ってなんだ?」


「おっぱい、昨日のあたしみたいにヌルヌルだし、他にもいろいろ……でしょ」

「きゃっ……!」

 ようやく、瀬里奈は自分が胸を晒しているのに気づいて、慌てて掛け布団で身体を隠す。


「そ、そういえばベッドのシーツも……痛かったですけど、あんなに真っ赤になるほど……なんて」

 瀬里奈は、恥ずかしそうにもじもじしている。

 瀬里奈が座っているベッドのシーツも、昨日と同じく――交換が必要になっているだろう。


「ま、そっちの後片付けは湊に任せるとして」

「わ、わかってるって」

「ご、ごめんなさい。お願いします……」


「せっかくだから、三人でも遊ばないと。ねえ、湊。今日はあたしにお願いしたいこと、ないの?」

「お願いしたいこと……?」


 湊は一瞬首を傾げ、すぐにピンと来た。

 瀬里奈は、このあとやるべきことがある。


 家に帰る前に、絶対にやっておかなければいけないことが。

 それなら、ついでに湊も――葉月も。


「じゃあ、二人とも」

 湊は座ったまま、床に両手をついた。

「俺と一緒に、風呂に入ってくれ!」



「きゃっ、葵さんっ……シャワーで胸、狙わないでくださいっ……」

「そこ、念入りに洗わないと」

「…………」


 湊は湯船に浸かり、洗い場で戯れる二人の少女を見つめる。

 葉月はミルクティー色の長い髪を後ろでまとめ、瀬里奈は黒髪ロングをポニーテールにしている。


 二人は一糸まとわぬ姿だ。

 葉月も瀬里奈も真っ白な肌だが、瀬里奈のほうが色白だ。

 Fカップの胸がぷるんぷるんと揺れているのはもちろん、Dカップの胸もゆさゆさと揺れている。


「おっぱい、湊に散々しゃぶられたり噛まれたりしたでしょ?」

「そ、そうですけど……おっぱい吸われるのは初めてではないですし……きゃっ、今度はそっちに……!」


「ここも念入りに洗っておかないと。一回目はそのままだったんだよね?」

「え、ええ……きゃんっ、もっとシャワー弱くしてくださいっ……」


 葉月はシャワーノズルを掴んで、瀬里奈の身体のあちこちにお湯を当てている。

 まさか、ムサ苦しい中年の父親と男子高校生が毎日使っている風呂場に、女子高生二人の姿があるとは。

 しかも、校内でトップを争う美少女の葉月と瀬里奈――


「こら、湊。なーに、じろじろ見てんの」

「や、やだ……こんな明るいところでじっと見られたら……恥ずかしいです」

「なるほど、そのとおりだな」

 湊は、ざばっとお湯から上がる。


「きゃっ……♡」

「ど、堂々と見せてくるよね」


「今さら恥ずかしがるほうが、恥ずかしいだろ。それより、一緒に風呂を入る願いを聞いてもらったんだから、今度はこっちが願いを聞くよ」

「な、なに? どういうこと?」

「あ……」


 戸惑う葉月と、なにか察した瀬里奈。

 瀬里奈は胸を隠しながら――


「で、では……私の身体、洗ってもらえますか、湊くん?」

「そ、そういうこと。それって、お願いされたほうが得するだけじゃないの……?」


「特に瀬里奈は俺が汚したんだしな。あ、葉月も昨日と朝、汚した分だけ、綺麗にしてやるよ」

「ば、馬鹿っ!♡」

「お、お手柔らかに……あ、あれ? 今朝? もしかして、葵さんと湊くん、昨日サボったときに……だけではなくて、朝も?」


「うっ」

「ば、馬鹿。いらんこと言うから!」

 葉月が、シャワーを湊に当ててくる。


「実は、湊が最近料理に目覚めて。あたし、朝ご飯を食べさせてもらってるんだよね。そのお礼っていうか……ご飯食べてくつろいでたら、なんかちゅーしちゃって……そのまま、雪崩れ込んだっていうか……」

「お、お料理するんですか、湊くん?」


「そこに食いつくのかよ。いや、瀬里奈のメシが美味かったからさ。手料理もいいなあって、覚えたんだよ。今度教えてくれるか?」

「喜んでお教えします! あ……エプロンだけの格好とかのほうがいいですか?」


「え、お願いしたら裸エプロンで教えてくれるのか?」

「で、でも、お料理は火や包丁を使うので、遊んじゃダメですよ。お料理が終わったら、ちょっとくらいは……いいですけど?」


「いいですけど、じゃねーんだよ! 二人だけで遊ぶ計画立てんな!」

「わ、わかってるって、葉月。けど、おまえは料理勉強する気なんてねぇだろ」

「ないけどさ。じゃあ、あたしはドーンキでメイド服でも買ってこようかな」

「形から入るんじゃなくて、形だけで済ませる気かよ」


 だが、瀬里奈の裸エプロンはもちろん、葉月のメイド服も見てみたい。

 おそらく、葉月なら胸の谷間もあらわな、ミニスカメイド服だろう。


「ああ、その話は二人を綺麗に洗ってからだな」

「えーっ、洗ってたら……また汚すようなこと、しちゃうんじゃないの?」

「わ、私は汚されても別に……そのままよりは、胸とかお腹に……のほうが……」

「……とりあえず、洗おう」


「い、いいけど……綺麗にしてね?」

「優しく、お願いしますね……♡」


 湊に、全裸の葉月と瀬里奈が寄り添ってくる。

 生のおっぱいの感触が、湊の腕や胸に伝わってきてしまう。


「んっ、ちゅっ……♡」

「あ、葵さんだけ……私も……♡」


 不意に葉月がちゅっとキスしてきて、葉月が離れると瀬里奈も軽く唇を合わせてきた。

 湊もそれに応えて、キスを返し――


「はっ、んっ、んんっ……ちゅっ、ちゅっ♡」

「んっ、んん……葵さんの舌も……当たって……んっ♡」

 湊、葉月と瀬里奈が舌を伸ばして三人で舌を絡め合う。


 まさかの、美少女二人との同時キス――しかも二人は最高の裸体を晒している。

 Fカップのたわわな二つのふくらみ、大きさで負けていても形と柔らかさでは上かもしれないDカップのふくらみ。


 それに、すべすべの肌の感触、甘い匂いと甘酸っぱい香りがたまらない。

 湊は、二人とたっぷりキスしてから、隅々まで身体を洗い、なんとか汚すのは我慢して――


「ふぅ……さすがに三人じゃぎゅーぎゅーだな」

「あたしも瀬里奈も細いけど、無理があるね」

「ちょ、ちょっとキツいです……あんっ♡ なにかお尻に当たってます……」


 湯船の真ん中に湊、その膝に座るようにして瀬里奈、さらに湊の後ろから葉月がおっぱいを押しつけるようにして抱きついている。

 湊家の湯船は小さくはないし、特に女子二人は華奢だが、三人で入るのは厳しい。


「もっと広いお風呂、貸し切りにできないかな。あ、そうだ」

 葉月は湯船を出て、一度脱衣所に行ってまた戻ってきた。


 葉月はスマホを手に持っていて、湯船の縁に腰掛けた。

 湊の目の前に、葉月の白い太ももがある。


「きゃっ、こら、太ももにスリスリすんな」

「ああ、悪い。つい」

「もうっ……このエロ。それより、湊。この前、ちょっと言ったじゃん。フェアラン行こうって」

「え? あれ、本気だったのか? テストの打ち上げでフェアランは大げさじゃねぇ?」


「フェアリーランドですか? 実は私、行ったことなくて……」

「俺も二回だよ。陽キャじゃあるまいし、そう頻繁には行かねぇよ」

 湊は、瀬里奈の頭を軽く撫でてやる。


 フェアリーランドは巨大テーマパークだ。

 高校生なら一度や二度は行ったことがあるだろうが、瀬里奈のように物静かなお嬢様の遊び場にはふさわしくないかもしれない。


「だったら、なおさらだよ。せっかく、三人で仲良くなった記念。泊まり込みでフェアリーランド、行こう!」

「マジか……」

「い、いいですね。本当に三人でいいんですか」


「当たり前じゃん。うん、実はあたしと湊で行く気だったけど、もう瑠伽も一緒じゃなきゃダメでしょ」

「は、はい。行きたいです。なんとか家には言い訳を考えます」

「アリバイ作りなら、あたしに任せて。湊も、いいよね?」

「そりゃ楽しそうだが……」


「おっけー。やっぱ広いお風呂があるところにしようよ♡」

 葉月は、三人で同じ部屋に泊まり、一緒に風呂に入るのも当然と考えているようだ。


 もちろん、湊には反対する理由は1ミリもない。

 瀬里奈もワクワクした顔をしていて、もう提案を完全に受け入れたようだ。


「あ、この部屋」

 葉月がスマホを湊たちのほうに向けてくる。

 フェアリーランド併設のホテルの部屋情報が表示されている。


「……このダブルの部屋にしてみる? ベッド、ガチでデカいし、定員3名って書いてる」

「いいお部屋ですね……お風呂も広そうです」

「い、いいのか、それで?」


「……うん♡」

「は、はい♡」

 こくんと二人が頷いてくれる。


「三人で……一緒に遊んで、夜も一緒の部屋で遊びたいです♡」

「あたしも。せっかく遊びに行くんだから、部屋も一緒がいいよ♡」

「じゃ、じゃあ……葉月、瀬里奈、三人で一緒に遊びに行こう」


「よっし、決まり! 湊、瑠伽、夜まで一緒に遊びまくろうよ!」

「うおっ」

「きゃっ!」


 葉月がにこっと笑って、するりと湯船に飛び込んでくる。

 狭い湯船が、またぎゅーぎゅーになり――


 湊は二人の少女の柔らかさを全身で味わいながら、この楽しすぎる女友達との時間が永遠に続くことを願う。


 カノジョなら別れてしまう可能性は高いが――葉月と瀬里奈は友達なのだ。

 友情なら、きっと長く続くのではないだろうか――

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