ヒロト36

 大学の授業もテンカラのイベントもなくなり、家電量販店も時短営業になったので、ヒロトは時間を持て余した。

 それに麻衣に会えない辛さと寂しさと空虚感を何かをして埋めたかった。 

 ゲームでただ時間を消費するのではなく、何か建設的なことをしたかった。


 それで、大学の勉強に懸命に取り組み始めた。

 また、将来会社に勤めた時に役に立つだろうと、英会話の教材を購入して勉強を始め、片付けていた1年の時のTOEICの教材も取り出して、再び勉強し始めた。

 さらに、一般教養を身につけるために色々なジャンルの書籍も読み漁った。

 何か使命感と責任感のようなもので突き動かされていた。あんなに勉強嫌いであった自分がこれほど勉強をするようになったのは自分でも意外なことで、驚きであった。

 

 麻衣と出会うまでの卑屈で臆病な自分が自分の人生の第1章、彼女と出会い社会を知り、少し積極的になり少し社交的になれた自分が第2章、これからが第3章の始まりだ。

 いつかふたたび麻衣に会った時に「立派になったね」と言われるような自分になろう、そう心に決めていた。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る