5月25日(木)曇りのち晴れ 大山亜里沙と産賀良助その3
テスト終わりのシーチキンの日。
今回の中間テストは好感触で終わったので、明日と土日は穏やかな気持ちで過ごせそうだ。
「はぁー……」
一方、全てのテストが終わった時、隣の席の大山さんは大きなため息をついた。
「お疲れさま、大山さん」
「おつかれー」
「……最後の古典、あんまりだった?」
「んー そういうわけじゃないよ。そこそこできたと思う」
「そうなんだ。じゃあ……」
「いや、なんとなくため息ついちゃう時ってあるくない?」
「まぁ、ないとは言えないけど」
深呼吸ではなくため息なら何かあるようには思うけど……この言い方からして聞かない方がいい話題なのだろう。
「まぁ、なんでもないなら良かった。また、明日」
「うー……ちょい待って」
「な、なに?」
「……うぶクン、引き際が早くなったね」
「えっ? 本当は聞いて欲しかったの?」
「そう言われると、言いたくなくなるケド?」
「ど、どうすればいいんだ」
「あはは。困ってるこまってる」
大山さんは脱力しながら笑う。
何とも意図を汲み取れないけど、今日の大山さんは少しダル絡みしたくなっているのかもしれない。
「それで……本当に何も問題なかったの?」
「うん。今のところは。でも、また困ったことになったらうぶクンにも相談するね」
「含みがある言い方だ」
「うぶクンはさ。ミチにはこんな風に絡まれたりしないの?」
「こんな風とは」
「構って欲しい的な」
「うーん……いや、プライベートなことだから僕の口からは言えない」
「考えるってことはちょっとあるかもしれないじゃん」
「じゃ、邪推はしないで頂きたい」
「いいじゃん。たまには聞かせてよ。そういう話」
「亜里沙~ 行かないのー?」
「はーい。じゃあ、うぶクン。付き合ってくれてありがと」
「お、おう……また」
そう言うと大山さんはいつものテンションに切り替えて他の女子達と話し始めた。
女の子には色々ある、と書くのは昨今の傾向的には良くないのかもしれないけど、今回の大山さんの態度はそれにあたるのかもしれない。
言いたくなかっただけで本当は古典の出来が悪かった……のなら大山さんは言いそうだけど、あまり気にし過ぎるのも良くないので困ったことにならないよう祈っておこう。
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