5月21日(日)曇り時々晴れ 明莉との日常その91
晴れるとやっぱり暑い小学校開校の日。
この日は通常通り午前中と寝る前は自分の部屋、午後の時間は明莉と一緒にリビングで勉強した。
「そういえば、明莉が高校に入ってから初めての中間テストか」
「そうなるね。りょうちゃん、1年生1学期中間テストで絶対に出そうな範囲全部教えて」
「そんなこと言われても困る。明莉の授業担当は知らない先生ばっかりだから、朱津田に形式とか違うだろうし」
「でも、テスト範囲が大きく変わることはないだろうから、解答用紙とかヒントになりそうじゃない?」
「確かに……解答用紙がどこに行ったか知らないけど」
「えー せっかく同じ学校に入ったのにー」
そのために入学したわけじゃないのはわかっているけど、明莉は残念そうにしていた。
兄弟姉妹間でそういう情報共有がアリなのかわからないけど、学校側は普通に勉強するのを望んでいるはずだ。
だから、僕が解答用紙の行方を知らなくても何も悪くない。
「別にりょうちゃんのテストなら見せて恥ずかしいような点数でもないだろうし」
「隠してるわけじゃなくて本当にどこにあるか知らないよ。あと、点数関係なく自分のテスト見せるのってなんか恥ずかしいだろう」
「それはそう。ただ、今回のテストに不安がないかと言えば嘘になるんだよねー」
「そうなのか?」
「だって、高校って中学以上に厳しい印象あるから、失敗したら再テストを受けさせられるのかなぁって」
「それも先生によるとは思うけど」
「りょうちゃんは受けたことなんだっけ?」
「今のところは。他の人が受けたのは聞いたことある。確か……理数系と英語」
「やっぱりあるんだ。まぁ、赤点だけは取らないようにがんばりますか」
「わからないところがあるなら遠慮なく聞いていいぞ」
「おっけー」
そんな軽い雑談を終えると暫く無言の勉強タイムになる。
明莉もさすがに高校最初のテストはちょっと不安があるのか。
でも、危機感がある方がかえって勉強しようと考えられるのかもしれない。
「ねぇ、りょうちゃん」
「うん? なにかわからないところあった?」
「うちの図書室の先生ってさ……結構可愛くない?」
「なんの話!?」
「いや、この前初めて図書室行ったんだけど、めっちゃドジっ子なところ見ちゃって」
「その話はまた今度。ほら、集中しなさい」
「はーい」
受験から解放されて以降、まともに勉強するのが久しぶりなせいか、明莉はやや集中力が落ちているように見えた。
受験で全力を出してから下り坂になるという話は聞くけど、明莉がその法則に当てはまっていないことを願いたい。
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