5月15日(月)曇り時々晴れ 大倉伴憲との日常その36

 5月も折り返しのヨーグルトの日。

 昼過ぎに一度夕立があったけど、その後はカラっとした天気になった。


 そんな今日は朝から大倉くんがやけに真剣な表情をしていた。


「どうしたの、大倉くん?」


「じ、実はね……やっちゃったんだ」


「なにを?」


「……新作買っちゃった」


 大倉くんは少し濁して言ったけど、それがちょうど先週の金曜に発売されたゲームの新作だと理解する。


「おお、いいじゃない」


「よ、よくないんだよ、これが。来週からテストだっていうのに、どうしても我慢できなくて買っちゃって……」


「めちゃめちゃ時間泥棒だと」


「そ、そうなんだよ……」


 僕は話題が出てきた時点でそう言われるのも予測していた。

 無論、僕も購入したかったけど……テストではなく金銭状況的に買えなかった。

 先日の母の日も含めてお財布事情は厳しい。


「ちなみに土日はどれくらいやってたの?」


「……金曜を含めると20時間強」


「うぉ……日常生活以外は全部やってるやつだ」


「だ、だから……今日はここで宣言するよ。テストが終わるまで封印すると」


「まぁ、息抜きにちょっと触るくらいはいいと思うけど、そういうわけにもいかないんだろうね」


「う、うん。別にネタバレが嫌とかじゃないんだけど、早めにやっておきたい気持ちがあるから」


「わかるわかる」


「産賀くんは買う予定はあるの?」


「考えてるけど……急いで買わなくてもいいかとは思ってる。それこそ、受験とか終わった後でも……あっ」


「そ、そうだよね……誘惑に負けてダウンロードで買っちゃったから……」


「別に大倉くんが悪いって言いたかったわけじゃないから。そ、それよりプレイした感想教えてよ。僕もネタバレは気にしないから」


「そ、そう? いや、これがまた最初のシーンから――」


 その後、大倉くんは休み時間の度にプレイの感想を教えてくれたので……喋りたかったんだと思う。

 まぁ、自分でゲームをしてはいけないと思っているのなら、テスト前の期間でも何とか我慢できるはずだ。

 それよりも……感想を聞いた僕が若干やりたくなっている方がまずい。

 時間とお金の両方がないから良かったけど……いや、ギリギリお金は足りないことはない……テスト明けにはあるいは……考えておこう。

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