4月17日(月)曇り 塾での日常

 後半初日が始まった恐竜の日。

 4月に入ってから塾の日程も3年生用になり、受講する時間帯は2年生の時よりも早くなった。

 部活を引退するまでは少し困る人もいるだろうけど、僕としては早めに塾が始まる方がありがたかった。

新しく入塾した人もいるけど、前の枠と受ける人は変わっていないので、引き続き休み時間は路ちゃんや大山さん、重森さんと過ごすことになる。


「でも、クラスまで一緒になったらちょっと特別感はなくなったよねー」


「いや、美里以外のアタシらは元々同じクラスだったし」


「うわっ、仲間外れにされた……みーちゃん~」


「え、えっと……よしよし」


「ちょっとミチ。最近、美里のこと甘やかし過ぎじゃない?」


 ただ、春休みを経て3人の仲がより深まったからか、一緒に過ごすと言いつつも僕はだいたい壁か空気になっていた。

 でも、クラス内では聞こえるようで聞こえていない女子の会話を自然に聞けるのは、創作に何か役立つかもしれない。


「……みーちゃんって意外と胸あるよね」


「えっ!?」


「いや、ふと今膝の上から見上げて思ったわけ」


「そ、そんなことは……」


「なんで意外なの? アタシは元から結構あるなーって思ってたケド」


「亜里沙ちゃん!?」


「だって、なんかみーちゃんからはあります感伝わってこないし」


「はいはい。美里は結構自信ありますもんねー」


「まぁ、ちょっとくらいはね。それで言ったら亜里沙だってなかなかいい身体してるよ?」


「言い方がエロオヤジ。ミチ、気を付けないとダメだよ? 美里はわりと触ってくるから」


「……それならもう……何回か体験してるかも」


「手が早い! もう、本当に何やってんの!」


「いや、たまにしかやらないから」


「たまだからOKなわけじゃないでしょ。まったくうぶクンもいるんだから……あっ」


 大山さんはそう口にしながら今僕の存在に気付いたようだった。


「ごめん、うぶクン! こんな話しちゃって!」


「べ、別に謝らなくても大丈夫」


「私からもごめん。でも、産賀くんも止めれば良かったのに。それとも……この話題は興味あった?」


「違う違う! 盛り上がってるのに悪いと思って……」


「盛り上がってたのかな……?」


「あっ、いや……個人の感想です」


 そんなことを言っていると休憩時間は終わってしまった。


 まぁ、今回の話題が変な方向に行っただけで、普段は止める必要もない普通の会話をしているから何も心配していない。

 結局は短い休憩の一幕だから僕が無理矢理混ざる必要もないと思う。

 ただ……たまに触られている件は初耳だった。少なくとも僕は現場を目撃していない。

 今後も重森さんには警戒しなければ。

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