2月26日(日)曇り時々晴れ 明莉との日常その79
少し雪が舞った日曜日。
僕は引き続きテスト勉強をしていたけど、明莉も中3最後のテストの真っ最中だった。
このテストの成績が進学先の高校へ行くかどうかの真相はわからないけど、当の明莉は文句を言わずテスト勉強をしていた。
受験本番が控えているからこそ、ここで気を抜くわけにはいかないのだろう。
「りょうちゃん、お疲れー」
「お疲れ。休憩しに来たの?」
「ううん。気分転換にちょっと一緒に勉強しようと思って」
居間にやって来た明莉はそう言いながら教材を机に置いた。
受験勉強のことを考えて一緒じゃない方がいいかと思ったけど、ちょっと気を遣い過ぎたかもしれない。
そして、勉強が始まった時に明莉の表情を見ると、これまでにないくらい真剣な顔つきだった。
うちの高校入試は再来週。そこまで近づいてくると色々な気持ちが湧いて来る時期だと思う。
「ねぇ、りょうちゃん」
すると、明莉は突然口を開いた。
いったいどんな質問が飛んでくるのだろう。
この時期でありそうな悩みは……
「……私立合格した時のスイーツ、まだおごって貰ってない」
「その話ぃ!?」
「だって、もう結構時間経ったよ?」
「いや、その……なかなかタイミングが合わなくて」
「ウソだぁ。普通に暇な日とかあったでしょ」
「僕としては明莉と一緒に行こうと思ってたし……」
「あかりは別に買って来て貰っても良かったのに」
そう言われてしまうとちょっと悲しいけれど、確かに半分くらいは忘れていた。
だけど、このタイミングで話すとは思わない。
「そんなこと考えてる暇があったら勉強しなさい」
「急にお母さんみたいなこと言った! いや、うちのお母さんはそんなに言わないけど!」
「確かに……って、そうじゃなくて」
「もうほんのジョークだって。言ったでしょ、気分転換に来たって」
「それなら最初から雑談すれば良かったのに」
「まぁまぁ。このちょっと世話を焼くりょうちゃんを見たかったから」
「……明莉、何か不安があるなら相談してもいいんだからな?」
「大丈夫。これでも一回受験は乗り越えてるから!」
そう言うと、明莉は教材を片付けて自分の部屋に帰って行った。
不安があるなら言ってくれたらいいけど、照れくさい気持ちは何となくわかる。
僕のテストが終わった後は、明莉を全力で応援して……まとめておごれるようにしておこう。
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