2月20日(月)曇り 重森美里の介入その11

 実質的に2月最終週が始まる月曜日。

 気付けばテストが一週間後に迫っており、修学旅行から続いて浮かれた気分をそろそろ正さなければならないと感じる。

 塾の講義もテスト対策の内容になったので、気持ちの切り替えにはちょうど良かった。


「でも、テストが終わったらもう春休みで3年生なんだよねぇ。早いなぁ」


 その日の休み時間、重森さんはそう呟く。

 それに対して、路ちゃんと大山さんも頷きながら喋り始める。


「本当に1年ってあっという間だよね」


「アタシも塾に通い始めてからもうこんなに経ったのかと思っちゃうわ」


「3年生はどういうクラスになるかなー。今のところ、私だけハブられてるから、同じクラスになる確率低そう」


「そっか……クラス替え……」


 路ちゃんはそう言いながら一瞬、僕の方を見る。

 3年生になる意識はあったけど、クラス替えについては全然考えていなかった。

 まぁ、路ちゃんとは部活と塾で会えるし……と思ってしまうのはあまり良くないのだろうか。


「クラス替えって先生も考えた上で決めてるって噂は聞くケド……実際どうなんだろう?」


「まぁ、完全ランダムではないよねー その点で言うと、亜里沙と産賀くんは2年連続でリーチでしょ?」


「リーチと言われても」


「おや? 産賀くんもさすがに3年連続亜里沙と一緒はうんざりだったり?」


 重森さんは少しからかうつもりでそう言ったのかもしれないけど、僕としてはかなり困る質問だった。

 もちろん、大山さんと一緒のクラスになるのは全然悪くないことなんだけど――


「こらこら、美里。うぶクンが困ってるじゃん。実際どういう仕組みかわからないんだし……仮に一緒だったらアタシはミチに譲るから」


「ええっ!? そこまでしなくても……」


「みーちゃん。そこはそもそも譲れないとツッコむところ」



「あっ。そ、そうだよね……」


「あー、ミチってば、やっぱりうぶクンと一緒がいいって思ってるんだねー このこの~」


「教室での2人がどんな感じか見たいから、私も同じクラスがいいなー」


「ちょっと。アタシはどうなるの?」


「えっ? だって、みーちゃんに譲るんでしょ?」


「いや、そういう話じゃなくて今度はアタシがハブられた感じになるじゃん」


「えー、でも、私と亜里沙が一緒のクラスになるのは……なんか普通にありそうじゃない?」


「確かにー」


 途中から僕も路ちゃんも完全に割り込めなくなっていたけど、大山さんと重森さんはなんやかんやで楽しそうに話していた。

 実際のところは、クラスうんぬんを気にしている暇なんてないかもしれないけど、願わくは知り合いが多ければいいなと思った。

 無論……路ちゃんも一緒なら言う事はない。

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