2月18日(土)曇りのち雨 明莉との日常その78
通常の休日は久しぶりの土曜日。
僕的には修学旅行の週より濃い時間を過ごしたような気がするので、本日は特に用事もなくゆっくりとしていた。
「りょうちゃん~ ちょっと食べ助けして~」
そんな中、勉強の休憩中だった明莉が急にそう言ってくる。
居間の机に広げられたのは、既に開封済みだけど、可愛らしく梱包された……チョコだった。
「これって交換したチョコ? なんか……うちで作った分から倍以上になってない……?」
「それがさぁ。みんな受験勉強のストレスやら、中3最後のバレンタインやらで結構気合入れちゃって。結構いい感じのチョコ買ったり、自作もいつも以上にはりきっちゃったみたい……まぁ、わたしもその1人なんだけど」
「なるほど。それで想定よりも量が……でも、明莉なら全然1人で食べられそうなのに」
「もう、あかりを大食いみたいに言わないでよ。今はあんまり運動できてないから多少カロリー気になるし、さすがにチョコばっかりだと……」
「それもそうか。じゃあ、今度おごるのは甘いモノじゃない方がいい?」
「いや、その時はまた別だから」
明莉はきっぱりと否定する。
それでも現状のチョコには少々まいっているのは本当なのだろう。
「食べ助けは構わないけど、本当に僕が食べてもいいの?」
「大丈夫。実際、誰が食べたかなんてわからないし」
「いや、言い方。じゃあ、遠慮なく頂くけど、それなら僕も明莉に分ければ良かった」
「りょうちゃん……彼女さんのチョコを妹に分けるのはどうかと思うよ?」
「違う違う。部活で貰った分だから」
「知ってるよ。りょうちゃんが3日間かけて大事そうに食べてたもん」
明莉がニヤつきながら指摘するので、僕は恥ずかしくなってしまった。
まぁ、この週は家の冷蔵庫に何回も行っていたからバレても仕方ない。
「あっ、これはちゆりんが買ってきたやつ。めちゃとろけて美味しかったよ」
「へぇ、原田さんが。買ってくるのと手作りのだと……半々くらい?」
「うん。専門店に行く子もいれば、作るのが楽しいって子もいるし。彼氏いる子でもどっちのタイプもいるよ」
「……明莉の友達って彼氏いる子多いの?」
「えっ。りょうちゃんがそんなこと気にするなんて珍しい」
「いや、話の流れでつい……」
「悪いとは言ってないから。でも……敢えて半々くらいと言っておく」
「なぜ敢えてかわからないけど、いるにはいるんだなぁ。中3の時なんて全然考えてなかった」
「でも、まっちゃんも3年生の時には愛を育んでたんじゃないの?」
「確かに……松永はあの頃からチョコも貰ってたろうしなぁ」
「そんなまっちゃんと真逆だったりょうちゃんが今ではチョコなんて飽きてしまうくらいに成長して……」
「飽きたのは明莉の方だろ。それに全然貰ってないから」
「本命1つあれば十分ってやつ?」
「それ他の人からも言われたよ……」
そうやって会話しながら何種類かチョコを食べさせて貰ったけど……確かにこれだけ美味しいチョコを毎日食べていると体重が気になってしまいそうだ。
きっと明莉と交換した原田さんを始めとした女子達も同じように悩みながら、それでもついつい食べているんだろうなぁと思った。
「……結局、明莉もそこそこ食べてたな」
「食べないとは言ってないよ? あくまで食べ助けして貰うだけだから」
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