1月11日(水)晴れ 奮起する大山亜里沙

 1が並ぶ日の水曜日。

 今日は休み明けのテストが行われる日だった。

 放課後の塾ではこのテストを自己採点した上で授業が行われるので、どれくらいできたかはその日のうちにわかった。

 結果は……可もなく不可もなくと言っておこう。


「つ、疲れた~」


 テストはいつも通り出席番号順になるので、隣の席からは大山さんが伸びをする姿が見えた。

 昨日の放課後に席替えが行われて、今回は大山さんと席が離れたけど、テストがある限りはあまり遠くになった気がしない。


「さすがに休み明けすぐのテストは疲れるね」


「ホントにねー まぁ、先生が3学期は頑張りどころって言ってたから、これでへばってたらダメなんだケド」


「志が高い」


「それほどでも~ って、今のところ何にも決まってないんだケドね。3学期にやることも将来的な話も」


 大山さんはそう言いながら机に伏せてしまった。

 休み中に会った時は元気満点に見えたけど、昨年少しだけ見せた弱気な感じは継続しているようだ。


「僕も全然だよ。直近の部活で必要なやつも進んでないし……」


「おー? 事情を知ってるアタシにそれを言うのはどういうコトだー? 楽しく遊び回ってたせいでしょー?」


「……否定はできない」


「あはは。冗談だって。せっかくの休みに楽しめたなら良かったじゃん」


「そう言う大山さんは新年何してたの?」


「うーん……親戚で集まったり、友達と遊んだり? 良くも悪くも変わらないテンプレお正月だった」


「テンプレなら悪くないと思うけど」


「そうなんだケド……新年だから新しいことも始めたい気持ちもあるんだよね」


 その気持ちはわかるけれど……何となく今の大山さんから焦っている雰囲気を感じる。

 いや、僕がボーっと生きているだけの可能性もあるので、志の高さは見習うべきなのかもしれないけど


「まー、ひとまずは何を頑張るのかを決めるのを頑張ろうかなー」


 最終的にはちょっと冗談めいたことを言っていたけど、新年でもちょっとずつ頑張り始めるのがいいと思う。

 僕もその考えが言い訳にならないよう……まずは文芸部の件を頑張ろう。

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