10月28日(金)晴れ 本田真治の助言その2
2学期中間テスト4日目で最終日。
始まる前は不安もあったテストだけど、終わってみればいつもと変わらずできたように思う。
これが塾に通い始めたおかげなのかはわからないけど、これからに向けて勉強する姿勢は保っていこうと思った。
そんなテスト終えた昼前。今日は文芸部もないので早めに帰宅しようかと思っていると、偶然この日は部活がなかった本田くんが声をかけてきた。
「ちょっと一緒に歩かないか?」
そう誘ってくれたのは僕が以前に相談した件を気にかけてくれたからだろう。
そのまま学校を出て暫くぶらぶらし始めた。
「……あれから、清水先輩とは?」
「直接会ってないけど、LINEで時々やり取りしてるよ。あとは2日目にも顔出してくれた」
「そうか。良ちゃんの方は……」
「ああ、うん。ぼちぼちって感じだよ。でも、茶道部に行けた後からはあんまり気にしなくなってる気がする」
実際、今日本田くんに声をかけられるまで忘れていたから、僕の中であの日の出来事はだいぶ薄まり始めていた。
2ヶ月は時間がかかり過ぎていると言われたらそれまでだけど、やっぱり時間が解決してくれるのは正解だった。
「それなら良かった。これで……今回の本題を言える」
「えっ? 本題……?」
その言葉に一瞬身構えてしまったけど、本田くんの方は妙にそわそわしている感じだった。
「その……良ちゃん。オレ、栗原と付き合うことになった」
「……はぁ!?」
1年生の時に同じクラスで、一時期は本田くんと大山さんをくっ付けるために協力していた栗原さん。
僕に関しては、クラスが別になってから時々廊下で挨拶を交わす程度になっていた。
そんな栗原さんが……本田くんと付き合う???
「なんで!? いつから!?」
僕は衝撃のまま素直に聞いてしまった。
それに対して本田くんは照れ臭そうに話し始める。
「大山と付き合う前もグループとして付いて来てたけど、フラれた後もそれ関連で話したりして……そしたらいつの間にか2人で遊ぶ仲になってた」
「ああ、そういう……」
「それからこの前の文化祭で告白を……」
「嘘ぉ!? 僕や大倉くんと一緒にいたのに!?」
「いや、その次の日だから」
ということは、藤原先輩とソフィア先輩もカップル成立した日になる。
……文化祭って本当にそういうイベントだったのか。
いや、メインは文芸部の成果を発表することだろう。
何をみんな浮ついてやがるんだ。
「な、なるほど。今日はそれを報告しに……」
「良ちゃんには伝えるタイミングずらした方がいいと思って。今度、倉さんにも伝えるよ」
「そ、そうかぁ……」
「ただ、良ちゃんにはもう1つ個人的に伝えたいことがある」
「な、なに?」
「……一度フラれても別のチャンスはある」
本田くんは僕の肩に手を置きながら力強く言った。
……僕が求めてる助言はそういうことじゃなかったんだけど……まぁ、今は本田くんにしては珍しくテンションが上がってる時なのだろう。
それから、栗原さんとの現状について少し聞かされた後、本田くんは使命を果たした顔をして帰って行った。
僕はいつメンの中だと、松永が一番パリピだと思っていたけど、もしかしなくても本田くんこそ新のパリピなのかもしれない。
次、栗原さんに会う時は……あっちの方から絡んでくるだろうなぁ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます