10月17日(月)曇り時々雨 隣接する岸本路子その6
文化祭明けの達成感と疲労感が残る月曜日。
そんな中でも塾は通常通りに行われるので、気を抜かないようにと思って僕は向かう。
「ほわぁ……」
しかし、来てみると珍しく路ちゃんが気の抜けた感じになっていた。
部長として色々頑張っただろうから仕方ないと思ったけど、よく見ると疲労感でそうなっている風ではない。
けれども、遠くを見つめる姿はいつもとは違うふんわり感を出していた。
「み、路ちゃん? 大丈夫?」
「うん、全然大丈夫だよー……」
「いや、絶対何かあったでしょ。まさか……」
昨日、僕や花園さんが気付けずに、例の人達に出会ってしまったのか。
それとも僕が見逃しているだけで文芸部的に重大なミスがあったのか。
……いや、どれも違う気がする。
「今のわたし、そんなに変……?」
「変ではないけど、いつもと違うと思う」
「それはたぶん……まだ熱に当てられてるからだと思う……」
「熱……とは?」
「ソフィアさんと藤原さんの。実はねー、あの後、昨日の夜に女子だけで通話を繋いでソフィアさんの話を聞いたの」
「へー、そんなことがあったんだ」
「そこで色々聞いてたら……ふふふ」
女子だけのプチ打ち上げがあったと聞いたら、また桐山くんは嘆いてしまうだろうけど、解散前の女子の盛り上がりを見れば仕方がないことだ。
恐らく、結構な時間まで通話していたに違いない。
「つまり……今の路ちゃんは寝不足ってこと?」
「…………良助くん、それは違う」
路ちゃんはいきなりふわふわから戻って強く否定する。
何ならちょっと怒っている風にも見えた。
「わかったわ。良助くんにも共有するから。それに妹さんの話もっと聞きたいし」
「えっ、ああ、うん。そんなに話すようなことあったかな……」
そのまま塾の講義が始まるまでと終わってから路ちゃんの迎えが来るまで、昨日のプチ打ち上げ内で出た話を聞かされた。
だけど、話の内容よりも話している路ちゃんの変なテンションが気になってしまった。
まぁ、文化祭の達成感や高揚感でこうなっている……ということにしておこう。
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