7月27日(水)晴れ時々曇り 明莉との夏休みⅡ
夏休み7日目。今日で夏休みが始まって1週間だけど、僕としてはここまでは結構充実しているように思う。ただ、1週間を過ぎると頭と体が完全に長期休みモードに入ってしまう可能性もあるので、だらけ過ぎない気を引き締めていこうと思う。
そんな本日は特に予定もなく、明莉も部活は午前中に終わって帰宅したことから、一緒にお昼を食べた。メニューは動画で見たレシピを使ったそうめんだ。めんつゆにつけて食べるのとはまた違った味わいがある。
「……めっちゃ美味しい! これからのそうめん全部これで良くない!?」
「そしたら今度はこの味に飽きてきちゃうからたまに食べる方がいいんだと思う」
作った身で言うのも何だけど、いつもの料理には変わらない良さもある。それが長らく愛されているということは、結局一番食べやすいということなのだ。
「そうかなー あっ、そういえばりょうちゃん。1つお願いがあるんだけど」
「なに?」
「明日はうちに正弥くんが来るから家開けてくれない?」
「わか……はぁ!?」
いきなりとんでもないことを言われたので僕は思わず立ち上がる。昨日からこんなリアクションしてばっかりだ。
「正弥くんが家に来るからりょうちゃんはどこか出かけてくれないでしょうか」
「言い方の問題じゃないよ!? な、なんで僕が出なきゃいけないんだ!?」
「いや、明日は朝から来る予定だし、りょうちゃんを自分の部屋に閉じ込めておくのは可哀想かと思って」
「な、なるほど……?」
「あと、お昼食べるときに何となくりょうちゃんを含めて3人になるがイヤ」
明莉は特に悪気無くそう言うけど、僕の胸には少し刺さった。僕の家なのに僕の方が邪魔者扱いされている。
「べ、別に一緒に食べるつもりはないよ。そうか……わかった。僕は適当に消えとくよ……」
「ありがとう! でも、消えないでちゃんと帰ってきてね!」
「うん……それはもちろん」
明莉の言葉は嬉しいけれど……実質的に家から追い出されているのはやっぱり悲しい。長年いたパーティーから外された人もこんんな気持ちなんだろうか。
それに我が家で明莉と桜庭くんが2人きりということは……どこまでかは考えないとしてイチャイチャするためでもあるのだろう。そう考えると、部屋にいて気まずい時間を過ごすよりは家にいないのは正解な気がする。
「はぁ……」
「りょうちゃん、そんなに落ち込まないで? りょうちゃんが彼女連れて来た時にはあかりも最大限に空気読むから」
「慰めにならない。ちなみに何時頃なら帰っていいの?」
「うーん……17時くらい?」
「朝から来てそんなに滞在するの!?」
「別にいいでしょ。夏休みなんだし」
全然理由になってないけど、明莉が言うからには僕が何と言おうとそうなのだ。ここで下手なことを言って嫌われる方が嫌だ。
1週間を振り返って充実していると書いたけど、明莉はその数倍も充実していそうだから、何の勝負でもないけど負けた気がしてしまう。桜庭くん……できることなら次の訪問は1ヶ月以上空けて欲しい。僕の心の傷はそれだけ深い。
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