7月24日(日)曇り 友人との夏休みⅡ

 夏休み4日目。今日は数日前に立てた予定通りいつもの4人でゲーセンへ遊びに行った。松永に伝えた後意外にも早く4人の予定が合ったのはちょっと驚きだった。


「まぁ、去年はオレが色々あったからな」


「ぽんちゃん、別に自虐の持ちネタにしなくてもいいんだぜ……」


 松永は本田くんに優しい言葉をかけるけど、僕はちょっと納得してしまったので、その場で本田くんへ謝罪する。


「きょ、今日はボクの希望に合わせてくれてありがとう。具体的に何をするかは決まってないけど……」


「おっ、じゃあまずは太鼓やろう太鼓。ゲーセンと言えば太鼓ってイメージあるし」


「確かに。オレは実際にやったことはそんなにないんだが……3人は上手いのか?」


「俺とりょーちゃんは全然。前やった時に2人ともノルマクリアできなかった」


「あれは松永一番高い難易度選ぶからだろう。一個下でも危ういのに。大倉くんって音ゲーちょっとかじってるって聞いたけど、太鼓はどうなの?」


「……じゃあ、ちょっと見てて貰おうかな」


 いつもより自信溢れた大倉くんはバチを手に取る。その隣に松永も並んで無謀にもまた最上級の難易度を選んだけど、大倉くんもそこは同じだった。

 しかし、その後に松永は叩く手を止めてしまった。なぜなら隣の大倉くんが華麗なるバチ捌きでコンボを繋げていったからだ。


「クラさん! こんな特技今まで隠してたの!?」


「と、特技ってほどじゃないよ。最近はあんまり来てなかったけど、昔ちょっとやってて」


「そうだったのかぁ。マジでテレビに出演できるくらいのやつだった」


「こ、これくらいなら結構できる人いるから」


「だって、りょーちゃん。それに比べて俺達ときたら……」


「勝手に巻き込むな。でも、本当に凄かったよ」


 賞賛の嵐に大倉くんは照れながらももう一曲叩いて見せてくれた。この隣で叩く勇気はないけれど、凄い動きとカウントされるコンボ数を聞くのは非常に楽しい。もしかしたら大倉くんもちょっぴり披露したいと思っていたのだろうか。


「これはオレの出る幕はないが……今度はフィジカルで戦えるのやろうか」


「おっ、だったらホッケーとかどうよ。運動部チームvs文化部&帰宅部チームで」


「そういう時って運動部は分散するもんじゃ……」


「勝とう、産賀くん!」


 太鼓のバフを得てテンションが上がっている大倉くんが勢いよくそう言うので、僕は頷いてしまう。大倉くん、バチを持つと性格変わるタイプなんだろうか。


 それからホッケーが始まるけど、意外にもフィジカルによる戦力差はそれほど感じられず楽しく試合ができた。高2男子4人が集まってガチガチの勝負をしているのは、年齢がちょっと下がった気もするけど……男子はいつまでもこんな感じなのかもしれない。


 その後もレースゲームやらシューティングやらで対決したり、UFOキャッチャーを交代でやりながら景品獲得を目指したりと久しぶりのゲーセンを満喫した。こんなに楽しいのにどうして今まで行ってなかったのだろうと思ったけど、帰る直前になって僕はその理由の1つになり得ることに気付く。


「結構……お金使ったなぁ」


「良ちゃん、それは言わない約束だ」


「UFOキャッチャーで意地になったのが良くなかったな……俺も含めて」


「ぼ、ボクもテンション上がって全然気付かなかった」


 100円玉やコイン変換で少しずつ遊ぶから気付きづらいけど、お財布は随分軽くなっていた。もちろん、家以外で遊ぶ場合はある程度お金はかかるんだけど……放課後に毎日寄る学生たちはどこからお金を捻出してるんだろう。


 それはともかく、夏休みらしく遊び尽くした1日だった

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