9月5日(日)曇り 明莉との日常その16

 長く休みが続いてしまうと、二日間の休みはすぐに過ぎてしまうもので、次の月曜日が少しだけ憂鬱になる。特に今月は体育祭の練習が始まってしまうから、余計に休みが終わって欲しくないと僕は思っていた。


「りょうちゃん……夏休みあと1ヶ月くらい延長しないかな……」


「そんなことしたら二度と学校行けなくなるぞ……」


 そんなことを言う僕と明莉は居間でぐったりとしていた。僕に限って言えば普段通りだけど、明莉までだらけているのはGW以来な気がする。


「そうなると、この感覚は五月病……?」


「あかり、この前なんかの記事で見たけど、九月病っていうのもあるらしいよ……」


「そんなのあるんだ。まぁ、学生限定だけど明らかに五月病より気が重くなりそうだもんなぁ」


「ってことは長期休みの度に何月病が発生することになるから……」


「シルバーウィーク明けは十月病で、冬休み明けは一月病、春休み明けは四月病……って年中大変なことに……」


 我ながらあまり頭を使ってない発言だ。でも、休み明けの気だるい感じは何かしら名前を付けて病気にしてしまいたい気持ちはわかる。


「これは甘いものが食べたくなっちゃうなぁ……」


「それはいつも通りでは?」


「あかりだって甘いもの食べる罪悪感あるんだよ」


「そ、そうなんだ。別に食べてもいいと思うけど」


「いやー りょうちゃんが言うなら仕方ないな~」


 そう言ったあかりは起き上がって冷蔵庫へ向かう。小さい頃はおやつは決まった時間に食べるもので、一回で食べられる量も限られていたから明莉が言ったように間食を取ることは未だに罪悪感を覚えることはある。


 すると、居間に戻って来た明莉はアイスを二つ持っていた。


「はい、りょうちゃんの分」


「ありがとう。でも、なんで?」


「一緒に食べれば共犯でしょ?」


「なるほどね」


 それから僕と明莉はアイスを食べながらゆったりとした時間を過ごした。なんだかんだ忙しかった夏休みから考えると、こうやって二人でいる時間は少なかったので、五日動いて二日間の休む日々が戻って来るのも悪くないと考え直すのだった。

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