7月4日(日)曇り 明莉との日常その13
昨日と変わらず居間でテスト勉強をする日。しかし、その空気は昨日の時点でいつもと違っていた。
「…………」
明莉が勉強中ずっと集中している……だと……? いや、テスト勉強といえば本来それが正しいんだけど、この前の中間テストではあれだけ喋っていたのに今回は静かなのは逆に怖い。
「明莉、何かあったのか?」
「…………」
「学校で何かあったとか?」
「…………」
「もしかして、前回のテスト結果が実は良くなかっ――」
「あー! うるさいよ、りょうちゃん! 集中してるんだから!」
「ご、ごめん……」
確かに邪魔したのは僕が悪かった。でも、前回は僕がこういう目に遭っていたし、本当に何かあったなら心配で仕方ない。
「りょうちゃん、7月と言えば?」
「7月? うーん……七夕?」
「そうそう。あと3日後には織姫と彦星が……って、違うでしょ!」
「えっ? じゃあ……松永の誕生日?」
「あっ、まっちゃんって7月だったんだ……って、それも違う!」
「ええっ? 7月って特別なイベントあったっけ? 夏祭りとか?」
「それをひっくるめた夏休みでしょ!」
「あー! ……で、夏休みがこの状況と何の関係が?」
「このテスト頑張ればあとは夏休み遊ぶだけでしょ?」
なるほど。心配することなんてないポジティブな動機だった。ここで遊びたい気持ちを我慢することで夏休み前のテスト返却も心穏やかに迎えられるわけだ。
「それに、あかりにとって今年の夏休みは貴重な夏休みだから」
「そうか。来年は推薦やら受験勉強やらやってる時期だもんな」
「そういうこと! だから、今回は集中するの!」
「今回だけじゃなくて……と言いたいところだけど、その考え方は偉いと思う。理由がわかってよかったよ」
こうして、その日の勉強はとても集中できる日に……
「……ところでりょうちゃん。一つお願いがあるんだけど」
「なに?」
「あかりの夏休みをより良くするために……夏休みの宿題手伝って――」
「それは駄目」
「えー!? なんでー!?」
「夏休みは遊ぶだけって、本当に遊ぶだけの話だったのか」
「だってだって、昨日から予定考えながら勉強してるけど、夏休みは長いようで短いんだよ!?」
「全然集中してない!?」
やっぱりいつも通りの明莉に安心したけど、テストの方は不安になった。
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