6月21日(月)晴れ 大倉伴憲との日常その4
席替えしてからの大倉くんは廊下側の一番後ろという好条件の席を手に入れた。教室内のいい席と言えばやっぱり後ろの方の席だと思うし、その中でも隣が壁になる窓際もしくは廊下側はもたれられるから何となく得した気分になる。
「そ、そう思っていたけど……」
「あれ? そうでもないの?」
「そ、それが……後ろの扉の出入りが多くて、け、結構落ち着かない」
そう言った大倉は絶賛自分の席じゃなく、僕の席の方に来ていた。大倉くんの方の席へ目を向けると、確かに今も数人が出入りしたり、扉の付近で人が溜まっている。
「そうなんだ……よく考えると、今までの席替えで廊下側の一番後ろの席はなったことないかも」
「せ、席替えって一学年で3、4回くらいやると思うから、今までのトータルだと……30回くらい?」
「だとすると、1回くらいあっても良さそうだけど、意外とないもんだなぁ」
「ぼ、ボクも窓際の一番後ろはなったことないよ。主人公席……」
「僕はそっちもない。というか、これまでどういう席になってたんだろう……」
毎回席の良し悪しで一喜一憂していたはずなのに、結局覚えているのは極端に前か後ろの時だけで、それよりも絶対的に多いはずのその他の席のことは全く覚えてない。これも松永だと記憶があったりするんだろうか。
「逆に新年度は前の席になることは二、三回あったかも。大倉くんは?」
「ぼ、ボクも一番端は絶対だけど、さ、最初から一番前はなったことないと思う。でも、席替えでなったことはあったような……」
「なってみるとそれほど不便じゃないけど、やっぱり先生が目の前だと変に緊張するよね」
「う、うん。ウトウトもできないから大変だ……」
「ちなみに今は?」
「……ちょっと寝てる時はある」
そんなこんなで席に関するトークで大倉くんと盛り上がった。
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