5月6日(木)晴れのち曇り 友人との日常その3

GW明けとなる学校。一週間ぶりに来た教室は久しぶりで、せっかく4月で慣れた高校生の感覚がリセットされたような気がする。そして、教室内の雰囲気もどことなく気だるげな感じがしていた。

 

 1時間目終わりの休み時間、僕と大倉くんの席に来た松永もそんな気だるげな生徒の一人だ。


「こりゃ完全に五月病だよ~」


 五月病。それはGWという連休明けに発生する病のようなもので、正式な病名ではないけれど、ひどいものだと本当にうつ病のような症状が出るらしい。だから、安易にだらけているだけと言いづらい状態だ。


「ぼ、ボクも朝起きるの辛かった……」


 今日はどことなくブルーな空気のある大倉くんも五月病の一人なんだろうか。確かに僕も今日は学校に行くのか……と家を出る前に少しだけ思ってしまった。


 そんな中でいつも通りしゃっきりとしているのは本田くんだ。


「オレは別になんとも」


「ぽんちゃんマジかー」


「GW中もほとんど部活あったし、宿題もそれなりにあったから。浩太もテニス部あったんじゃないのか」


「あったにはあったけど……歓迎会とかで遊んだ印象の方が強いかなー」


 松永と大倉くんでは部活に対するスタンスが違うのだ。それでも連休を物ともしない本田くんは普通に凄いと思う。


「りょーちゃんは歓迎会どうだった?」


「ファミレスでそれなりに盛り上がったよ」


「へ~ テニス部はカラオケだった」


 ということは、松永のGWはカラオケ尽くしだったわけだ。楽しいとは思うけど、短い期間で何回も行くとなると、歌いたい曲がなくなりそうな気がする。


「…………」


「…………」


「…………」


「おい、まだ1時間目しか終わってないぞ」


 唯一、五月病パンデミックから脱した本田くん以外は、既に思考が回らなくなっていた。それ以降の休み時間も珍しく本田くんが話を回してくれたけど、実は恐ろしい五月病だからこうなっても仕方ない。治るまでは本田くんに任せることにしよう。

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