勝者


《経験値を取得しました!》

《デッドゾーンにて五連勝達成!おめでとうございます》

《フェイスベールを取得しました!》

《称号:『闘者Ⅰ』を取得しました!》

《土魔法スキルのレベルが上がりました!

《鉄魔法スキルのレベルが上がりました!》


「……私は……」


拳を握り締める。

結局――自分は、最後までニシキさんに頼りっきりだった。

外れたらどうしよう、ニシキさんに当たったらどうしよう――そう思ってしまって、いつもの調子で魔法を放てなかった。

あのドラゴンが急に現れた時も、動揺してそっちばっかり目が行って……。


「――レン」


あの時、ハルさんの方に攻撃していれば終わっていたはずだった。

でも私は、ドラゴンに攻撃しようとして……動き回るそれに狙いを中々付けられなくて。


「レン」


その時も一緒だ。私は外してニシキさんの邪魔になったらどうしようって思って、結局何も出来なくて――


「レン!」

「ひゃぁ!?」


目の前。

ニシキさんにビクッとする。

……あ、そっか。勝ったから味方は復活するんだ。


「反省中か?」

「は、はい……色々とご迷惑を……」


怒られたらどうしよう。

結局ニシキさんは黄金の一撃を二回使ってたし……。


「……迷惑、か」

「はっ、はい!!」


「竜騎士も、ハルも強かったな」

「え? はい、それはもちろん。あの竜騎士はドラゴンとの連携が凄かったですし、ハルさんはあのストーンアローとか、その、あの至近距離での魔弓を生かしたあれとか――」


「――なあ、レン」


ニシキさんは私をじっと見る。


「『俺達』は、そんな強者に勝ったんだぞ」

「!」

「まずはそれを喜んで、それから反省すると良い」

「……はい!」


「よく頑張った、レン」


笑って彼がそう言った瞬間……何ともいえない、暖かい何かが胸を包み込む。

じんわりと。ほっとして、かつ燃え上がる様な何か。


……そっか。

私は今、すっごく嬉しいんだ。

ニシキさんと闘って――勝って、認めてもらえたこの瞬間が。



「ハルさん、抱き付くなんて思わなかったですね」 

「あ、ああ。確かにな」



珍しく少し焦っているニシキさん。

闘っている時の彼の姿――特に竜騎士との最後の瞬間は、この上なく楽しそうだった。


最初は冷静沈着で、あまり喋らなくて……ちょっと怖い印象だったけれど。

一緒に居る内に、色んな彼の顔を見るようになって――私もそれに影響されて。



「――ハルさんに抱きつかれた時の顔、ちょっと気が抜けてませんでした?」

「えっいやいやそんな事ないぞ、闘ってる最中だったしな」

「ちょっと何時もより早口ですね」

「……そうか?」



驚いてさっきより焦る表情。

こんな顔もするんだニシキさん。


「……」

「レン?」



……他人の目からずっと背けていた私。ずっと他人の顔が怖くて仕方なかった。

軽蔑の、嘲笑の、無関心のそれが。

でも今は真っ直ぐに前を向ける。


学校じゃ教わらなかった、大事な事を私は知れた。

それは紛れもない彼のおかげであって。


この一瞬、一瞬を――楽しいと思えるのは。



「ありがとうございました、『先生』」

「おいおい、レンも俺をそう呼ぶのか」

「駄目ですか?」

「はは……いいや、むしろ気分が良いよ」



少し照れて嬉しそうな顔のニシキ『先生』。

あはは、私はこの表情が一番好きかも。







【竜騎士】


モンスターをテイムし、共に戦う特殊職……召喚士の上位職。

ドラゴンを手懐けた者のみが転職できる。

主にドラゴンへ騎乗し闘う為、人気が高いがプレイヤースキルも要求される。


【槍武技】


『スラスト』――突き。基本。

『パワースラスト』――隙は多いがダメージに大幅プラス。

『アラウンドスピア』――槍を振り回し、範囲攻撃。威力は落ちる。

『ウィンドスラスト』――風のような速さで突く。AGIに左右。

『スキュア』――パワースラストの上位互換。強く早く突く、だが攻撃後隙が大きい。STRに左右。



【竜騎士専用スキル】


『ドラゴンスラスト』


召喚中のドラゴンに騎乗している時発動できる槍武技。

一直線に対象へ飛行し、ドラゴンの突進攻撃と槍の突き攻撃で大ダメージを与える。


『ドラゴニックコール』


召喚中のドラゴンと距離が離れている場合発動でき、発動後瞬時にドラゴンが召喚士へ向かってくる。


『ドラゴニックファイア』


紫竜専用スキル。

騎乗時のみ発動可能で、一定範囲に近くの敵へ紫竜が火炎放射を行う。

威力、範囲共に優秀だが隙が大きい。


『ドラゴンアームズ』

紫竜の場合……『紫竜槍パープルスティング

    

召喚中のドラゴンを武器へと変化させる。

召喚しているドラゴンの種類によって、発動後の武器種が変化。

発動後100秒経過後、武器はドラゴンへと戻る。


『ドラゴニックスパイラル』


紫竜槍専用スキル。

戦闘中一度だけ発動出来る。

槍の穂先に竜巻を発生させ、威力アップ、当たり判定増加、吹き飛ばし効果付与。


紫竜の怒りパープルハート


紫竜専用スキル。

召喚主が居なくなった場合、自動でこのスキルは発動する。

一定時間紫竜のステータスが上昇し、召喚主を倒した対象に攻撃する。

三十秒後召喚が解除される。



【パープルドラゴンについて】


グリーントカゲ→ピンクトカゲ→パープルドラゴン


グリーントカゲはグリーンソルデにて低確率で遭遇・テイム出来る。

気性が荒くテイム後も召喚主へ攻撃する事もあるが、根気強く接し、共に行動していくとピンクトカゲへと進化する。

その後は一定レベルでパープルドラゴンに進化。

美しい紫色で、可愛げのある顔は女性にも人気だ。

パープルドラゴンに進化後は飛行可能となり、攻撃の威力も高い。

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