第3章 その4

 翌朝登校早々、動物耳の女生徒にいかがわしいことをした上に、破廉恥なことを今後もしそうだという、根はあるだろうが葉はないはずの噂が拡散しており、生徒会や風紀委員に事情聴取をされ、準の仕事に協力したが、俺がヘマをしたので、同情した彼女が協力を惜しまないという意味で「いつでも、どこでも」云々と言ったまでだと、助詞をわざと一字減らして答弁。かろうじて難を逃れられるかと思いきや、体位とかバックとかを問い詰められ、

「それは、ほら。大尉ですよ、大尉。準さんとこには階級があるらしくて、バックさんていう名前の大尉です。今度はその人に協力するんだって……いう意味です」

 注意喚起のみで釈放されたわけだが、俺も使ってしまった。同音意義。けっこう便利だな。なんて言ってられないのだが、羅が何者かを聞かれなかったのは、準の名前を出したからだろう。

 それと生徒指導関連の教務室からの呼び出しがなかったのは、恐らくは翳教諭のおかげだろう。

 生徒会、風紀委員、教職員の権威に筋が通る話しをしても、大衆の口に蓋は出来ない。しばらくの間は噂が尾鰭や背鰭をつけて泳ぎまくるだろうが、それは我慢。今はそれよりも先に、やっておかなければならない。

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