【書籍化・本編完結】おっさんと超古代文明〜巻き込まれて召喚され、スキルが言語理解しかなくて追放されるも、超古代遺跡の暗号を解読して力を手にいれ、楽しく生きていく〜
第314話 たくましく成長した同郷の者達
第314話 たくましく成長した同郷の者達
それからしばらくの間、その宿に泊まって満喫した俺たちは王都に向かうことにしたが、その前に一度これまでの成果を持ち帰ることにした。
何日かで俺とリンネとカエデの三人は新冒険者ランクがAランクになり、子供隊もBランクとなった。天空島に来てから子供に沢山経験を積ませることが出来ているのが一番大きな成果かもしれない。
船をバレッタに街に近くに移動させてもらい、俺達は一旦地上の自宅へと帰還した。
久しぶりの地上はやはりなんていうか天空島と違って安ど感が違う。天翼族に化けているというのも精神的な負担になっていたのかもしれないな。
ここで一度ゆっくりするのも悪くないだろう。
「それじゃあ、明後日までは休みにして、三日後の朝からまた天空島に戻ろう。それまでは自由行動で。解散」
『はーい』
俺は地上に戻るなり、全員の前で指示を出し、各々が自由に行動し始めた。
自由にとは言ったが、いつものメンバーに分かれるだけだ。カエデと子供たち。俺とリンネ。イナホ。その三つのグループだ。
イナホはどうせ食ってるか寝てるかしかしないからな基本的に。本人にとって何かおもしそうな事があった時だけ能動的に動き出す。
皆が散っていくのを見ていた後、俺とリンネも動き出す。
「俺たちは仕入れと在庫の補充だな」
「了解」
俺とリンネは仕入れ旅行で回った仕入先に転移で移動して元々買い入れていた商品と新たに良い食材があれば、それも仕入れてからアルクィナスの近く移動し、城門へと歩いた。
「おや、もうすっかり夫婦ですね」
「まぁな」
俺に話しかけてくるのは門番。
この街で俺と一番付き合いの長い人物ではないだろうか。
「リンネ様もなんだかますます美しくなって……これも沢山注がれている結果ですか?」
ターゲットが俺からリンネに変わり、相変わらず際どい所を攻める門番。
「え、ええそうよ、って何言わせんのよ!!」
門番の策略にまんまとハマったリンネはノリツッコミのように素直に答えた後、門番に激昂しながら詰め寄った。
俺達に以外に並んでいる人もいるのでその人たちも俺とリンネが愛し合っていることがバレたが、俺は一向にかまわない。
門番君、もっとやってくれてもいいよ。リンネは俺の女だと喧伝してくれてるわけだからね!!
「はははっ!!仲の良いことは良い事です。これは近々お二人の子供の顔を見る日も近いかもしれませんね、楽しみです」
「はぁ……全くこの門番は……」
悪びれもせずに俺達の子供のことを思い浮かべて嬉しそうにしている門番を、リンネは忌々しそうに睨みつけている。
リンネが手を出すわけがないってわかってるからこそできることだよな。
門番の奴も大概太い神経をしている。
「お前もその辺にしておけよな」
「そうですね。大変失礼しました。お二人ともおかえりなさいませ」
そろそろリンネが暴走するかもしれないので俺が止めると、門番は執事のような動きで俺達に礼を取った。
「ああ、ただいま」
「ええ、ただいま」
俺達はアルクィナス内へと足を踏み入れた。
「ちょっと離れたくらいじゃ流石に変わらないな」
「そうね、結構離れてた気がしたけど、まだ一週間程度だものね」
なんというか天空島という全く別の場所に居たせいか、一週間離れていただけでこんなにも懐かしい気分になるなんて。
帰ってくるたびに言ってる気もするけどな。それだけ訪れた先での出来事が濃いせいだろうから許してほしい。
「それはさておき、さっさと店に行こう」
「早く終わらせて家でゆっくりしましょ」
「そうだな」
俺達はそそくさと店に向かう。
「もう二度とくるなぁ!!」
―ドゴォオオオッ
「ぐはぁああああああ!!」
店に近づくと、聞き覚えのある声に怒りが滲んでいるかと思えば、店の扉が開き、中から如何にも素行が悪そうな男が白目をむいて吹っ飛んでいき、道端にドサリと落ちて前のめりに倒れ伏した。
そして聞き覚えがあるという俺達の感覚を裏付けるように中から一人の人物が出てきた。
ミニスカの浴衣のような制服を着た同郷の女子高校生の一人だった。しかも威嚇するように手に武器を持っていた。
この子は引っ込み思案で、少し人見知りの性格の女の子だっただけに、そのギャップに驚きを禁じ得ない。
「よ、よぉ。生が出るな」
「ケンゴさん!!それにリンネさんも!!えっと……これは……」
俺はそんなたくましくなった様子の女子生徒に話しかけると、彼女は俺達だと認識した途端、剣呑な雰囲気を霧散させ、武器を背中に隠して苦笑いを浮かべた。
「ああ、いやいいんだ。前にも同じことあったしな。それにしても随分とたくましくなったなぁ」
「あははは……。ケンゴさんとリンネさんがいないことを言い事に、私たちにちょっかいを掛けてこようとする人たちが増えたので、今ではもうなれっこになってしまいました」
俺が感慨深げに話すと、その子は事情を話してくれた。
確かに俺とリンネがいるってだけで相当な抑止力たりえるからなぁ。その抑止力がないとなれば、アホな連中が幅を利かせようと動き出すのも無理はない。
むしろよく追っ払ってくれた。
俺とリンネは同郷の高校生の成長を感じつつ、在庫置き場に商品を下ろして在庫更新を行い、従業員たちと雑談に興じた後、自宅へと戻ったのであった。
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