第231話 突き抜ける
『見つかったの?』
俺の声が聞こえていたリンネが俺に尋ねる。
「ああ。地下にあった」
『それは見つからないわね。でも地下にどうやって攻撃するわけ?』
「そんなの決まってるだろ!!」
リンネの疑問に行動で回答を示す。イクスヴェルトの右手が光巨大な円錐形の螺旋が装着され、姿を現した。
そう、穴を掘ると言えばドリルに決まっている。ふっふっふ。こんなこともあろうかとイクスヴェルトようのドリル武器を作成していたのだ。
「GYAOOOOOOOOOOOOOOON!!」
『ケンゴの邪魔はさせないわよ!!』
ドラゴンゾンビが俺の行動に意味に気付いたのか、こちらに威圧を放ち、攻撃をしかけようとするが、リンネが立ちふさがり、牽制して足止めする。
『私も加勢する』
さらに魔族たちに加勢してある程度魔族たちの部隊の態勢が整ったらしく、カエデもリンネに加わり、影でドラゴンゾンビを抑え込んだ。
以前よりも力が増している上に、人型起動兵器パワーでさらに威力が増しているため、ドラゴンゾンビの動きもかなり鈍っている。
せっかく作ってもらったチャンスだ。全力全開だ!!
「ギガぁあ!!ドリルうぅぅぅ!!コラプスぅうううううううう!!」
ギガドリルコラプス。
『天壌無窮ハクレンメガネ』というアニメ作品で主人公ウエモンが乗る人型起動兵器が右腕に度巨大なドリルを出現させて放つ必殺技。
俺はそれを地下に向かってブチかました。
地面がプリンを削るようにほとんど無抵抗で掘削されていく。ドリルに手を引かれるように地下に向かって俺の体が吸い込まれ、キュイイインという少し耳に着く音とともにまがまがしい魔力の根源に向かって突き進む。
先に進めば進むほどその魔力は強くなり、その忌まわしさも増している。
―ガキンッ
そして俺は辿り着いた。その根源の元に。
地層から姿を現したのは濁った紫色の魔石。その大きさは一軒家程はあろう大きさだ。表面にドリルが直撃したが、その攻撃が徐々に魔石の表面を削っていく。
「GIYAAAAAAAAAAAAAAAAA!!」
魔石が削れると、後ろからつんざくような叫びが聞こえた。
ドラゴンゾンビの悲鳴だろう。ダメージを受けている証拠だ。ようやくあいつに攻撃を通すことができた。
ここまで来たらあとひと踏ん張り。
「いくぞ!!ロンゴミニアドリル、第二段階限定解除!!」
俺の言葉にドリルが一層光り輝き、その姿を変える。ドリルから一筋の光となって魔石を貫いた。
―ピシッ
魔石全体に罅が入る。
「GIYAAAAAAAAAAAAAAAAA!!」
再び天にも届きそうな咆哮が耳に届いた。
よし、このまま魔石を破壊して留めを刺そう。
『ちょっと待って貰えますか?』
勢い勇んでさらに力をこめようとした矢先。バレッタからストップがかかる。
「どうかしたのか?」
『その魔石はとても有用だと思います。倉庫に送っていただけますか?』
確かにこれだけ大きな魔石は今まで見たことはない。売ればとんでもない価格になるだろうし、魔道具作成の際のコアとしても使えるだろう。
しかし、安全面が確約できないのが非常に怖い。
『倉庫に送ってもらえれば、こちらで処理します』
「この魔石、今のまま倉庫に送れるのか?」
『触れてもらえれば問題ありません』
リンネの言葉に従い、俺は魔石にイクスヴェルトで触れて、他の物を倉庫に入れる時と同様に倉庫に転送されるように念じた。すると、目の前にあった悪しき魔力を宿した魔石が一瞬で消えうせてしまった。
『ありがとうございます。さっそく修復して浄化しておきました』
喜色を含んだ声色のバレッタ。つくりものの様なにっこりとした笑顔が目に浮かぶ。
「GIYAAAAAAAAAAAAAAAAA!!」
その声と同時に今までとは比べ物にならないくらい激しい悲鳴が俺の耳を貫き、暴れているせいか地面が揺れる。しかし、その揺れは数十秒もすれば何事もなかったかように静かになった。
『邪龍が消えたわ。やったのね?』
静かになると、リンネが俺に問いかけた。
「ああ」
『よかった』
俺の返事にリンネはホッと一つため息を吐く。
『それにしても邪龍が消える間際、なんだか恍惚の表情を浮かべていたような気がするんだけどどうしたのかしら?』
多分バレッタの浄化がとても気持ちよかったのだろう、色んな意味で。
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